低迷したチームをタイトル争いに導いたアルテタの実績
監督未経験という状態で古巣の指揮を任されたアルテタが、アーセン・ベンゲル政権の末期から停滞感が否めなかったアーセナルを再びタイトル争いを演じることができるチームに仕上げたことは紛れもない事実だ。
2019年12月、アルテタの初陣となったボーンマス戦のスタメンは、GKベルント・レノ、DFエインズリー・メイトランド=ナイルズ、DFソクラティス・パパスタソプーロス、DFダビド・ルイス、DFブカヨ・サカ、MFグラニト・ジャカ、MFルーカス・トレイラ、MFメスト・エジル、FWリース・ネルソン、FWピエール=エメリク・オーバメヤン、FWアレクサンドル・ラカゼットの11名。
途中出場の選手もDFシュコドラン・ムスタフィ、MFジョー・ウィロック、FWニコラ・ペペと、現在のスカッドと比較をすると明らかにクオリティを欠いている。
当初のメンバーでは、自分たちで主導権を握るサッカーは難しく、最初は堅守速攻のカウンターがベースだった。そこから各ポジションにクオリティの高い選手を加えることで徐々に進化させ、今では保持でも非保持でも効果的に振舞える完成度の高いチームにアップデートさせた。
2021/22シーズンからは、アルテタがマンチェスター・シティで共闘していたニコラ・ジョバーをセットプレーコーチに招き、チームのウィークポイントをストロングポイントへと改善。その結果、セットプレーでの得点数は、わずか1年でリーグワースト3位からトップ3へと浮上し、ディテールにもこだわって安定的な強さを手にしている。
選手からの信頼も厚く、アルテタの存在なくして今のアーセナルを語ることはできない。だが、監督業はそれだけでは務まらない。当然、結果が求められる世界なのだ。今のアルテタには何が足りていないのだろうか。