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コラム 7か月前

無冠確定のアーセナル。アルテタではタイトル獲得は難しいのか。完璧主義者が陥る“負のスパイラル”【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

怪我人続出には明確な理由がある

 その一つが、チーム内におけるポジション争いがほとんど存在しないスカッド事情だ。

 アルテタが志向する戦術は攻守に高い戦術理解力が求められている。これを毎試合のように完璧に実行するためには、メンバーを固めて戦う必要があり、チャレンジングな起用はほとんど見られない。

 今シーズンはイーサン・ヌワネリとマイルズ・ルイス=スケリーというアカデミー育ちの選手が台頭したが、いずれもアルテタがスタメンに大抜擢をしたわけではない。両者ともに怪我人が続出したことによる出場機会の増加であり、仮に昨季のような負傷者が出ないスカッド事情であれば、今ほど重要な立場ではなかっただろう。

 実際にヌワネリは、サカとマルティン・ウーデゴールの両者が復帰してからは再び出場機会を大きく減らしており、彼らと先発争いをする立場にもない。アルテタが考える序列の中で、スタメンとサブという明確な差がある。

 ガブリエウ・マガリャンイスの負傷に伴い直近の試合で先発に抜擢されているヤクブ・キヴィオルにも同様のことが言えるだろう。彼が怪我をしなければ、間違いなく出番は回ってこなかった。

 このメンバーを固定する戦い方は、特定の選手のみプレータイムが重なる傾向にある。今シーズンのアーセナルが怪我人に苦しめられているのは、偏った起用法による勤続疲労の影響も大きいだろう。

 仮にアルテタが以前から柔軟にポジション争いをさせつつ、各々のプレータイムを管理することができていれば、今ほど怪我人に苦しめられていなかったはずだ。その上でチーム内での競争力を高めることができていれば、さらに個々の能力が上がっていた可能性もある。

 逆にこのプレータイム管理を得意としているのがグアルディオラだ。

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