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コラム 7か月前

無冠確定のアーセナル。アルテタではタイトル獲得は難しいのか。完璧主義者が陥る“負のスパイラル”【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

選手は欲しいが、そこには大きな懸念点が…

 しかし、ここで課題となりそうなのが、アルテタが求める選手のハードルが高いこと。ストライカーにしても、ただ点を取るだけではなく、守備での貢献度や周りとのコンビネーションなどタスクが豊富。何よりサッカーIQが高くなければ、アーセナルのレギュラーに定着することは極めて難しいと予想される。

 アルテタは完璧主義者であるがために、どの試合でも自分たちの理想のサッカーを展開しようとするが、細かい状況判断は各選手に依存をしている。そのため、不器用な選手を並べてしまうと一気に崩れる傾向があり、これを避けるために起用できる選手の幅は必然的に狭くなる。

 すでに完成度の高い選手を揃えるとなれば、獲得コストは高くなり、選手層を厚くすることは容易な作業ではない。

 ここまでアルテタの課題や懸念点について羅列したが、今季に関しては編成の責任者であるスポーツ・ディレクターを務めていたエドゥがシーズン途中に去ったことによる影響が大きく、無冠の責任は監督へと向かないだろう。

 またオーナーを含めたフロント陣はアルテタへの信頼を強調し続けており、ベンゲルに長期政権を託したクラブ文化を踏まえても、簡単に監督交代を決断することはないはずだ。

 ただ、柔軟性などの課題が改善されない限りは、毎年のように“一歩”が足りないアルテタに限界が見えているのも事実である。彼がチームの土台を築き上げたことは間違いないが、すでにタイトルを獲得できないシーズンは失敗というフェーズに差し掛かっている。

 アンドレア・ベルタが新スポーツ・ディレクターに就任し、来季は言い訳が効かない勝負の1年となる。ここまでは地道に、前年に比べてポジティブな結果を残していることで何とかファンも精神状態を保っているが、プレミアリーグ2位とCLベスト4の先にはタイトル獲得しかない。

 このハードルが上がり切っている状態で、アルテタは自らの限界を突破することができるだろうか。もう失敗は許されない。

(文:安洋一郎)

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【了】

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