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コラム 7か月前

父の死、鬱、がん…。「恐れる」のをやめたアチェルビの軌跡。「サッカーができない」インテルのおじさんを救ったもの【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

「絶対に諦めない」という精神

 これまで CLで通算35試合に出場しながら、CLだけでなく、UEFAヨーロッパリーグ(EL)でもゴールを決めた経験がなかったアチェルビだが、ヨーロッパの舞台で初めてネットを揺らした。それがこのバルセロナ戦での土壇場での一発だった。

  喜びを爆発させ、ユニフォームを脱いだことで、イエローカードを提示されているが、今季、CLの8試合、セリエAの21試合を通じて、これが初めての警告だった。一発退場も、ラツィオ時代に出場した21年10月3日のボローニャ戦の一度だけ。いかに、フェアな選手であるかがよくわかる。

 インテル最年長プレーヤーの「絶対に諦めない」という精神は、チーム全体に乗り移った。アチェルビはこれまでのプロキャリアで、チームキャプテンを任されたことはない。言葉で引っ張るタイプではなく、その背中でチームを牽引するタイプなのだろう。37歳の大ベテランが不屈の闘志を示せば、その意志は自然とチーム全体に伝播していく。

 延長戦に突入し、流れはインテルに大きく傾いた。延長前半には、途中出場のダヴィデ・フラッテージが、逆転のネットを揺らす。スタジアムのボルテージは最高潮に達した。

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