「アチェルビはよく体現している」。インザーギのチームの特徴とは
そして試合終盤、ラミン・ヤマルに決定機が訪れるが、ヤン・ゾマーが右手一本で防ぎ、インテルが4-3で勝利。2戦合計7-6でバルセロナを下し、劇的な準決勝突破を果たした。CLリーグフェーズで28得点、ラ・リーガでも95得点を記録し、圧倒的な攻撃力を誇る今季のバルサを壮絶な打ち合いの末に退けたこの一戦は、未来永劫語り継がれるものだ。
この試合をイタリア公共放送の『Rai』ラジオで解説を務め、アチェルビの同点弾の瞬間に絶叫したフルヴィオ・コッロヴァーティは、サッカー史に残る死闘の一戦をこう振り返る。
「私にとってこの試合の象徴はアチェルビだった。いつも(マルクス・)テュラムやラウタロ(・マルティネス)のゴール、(ハカン・)チャルハノールの活躍やゾマーのセーブが話題になるが、今回はDFについて語るべきだ。
準々決勝のバイエルン・ミュンヘン戦では、ハリー・ケインを封じ、さらにこの試合の終盤には相手陣内深く攻め上がり、ゴールまで決める力を見せたのだから」
さらに、インテルの一員として、公式戦の168試合に出場し、FIFAワールドカップ(W杯)1982年大会の優勝メンバーでもあるコメンテーターは、「アチェルビはインザーギのチームをよく体現している。このチームは明らかに失点を許していて、それはバルセロナやバイエルンとの試合からも見て取れるが、それでもあえてDFも攻撃に参加させるスタイルを選んでいる。そうなると当然、失点が増えるのも自然なことだ」と分析する。
今季のインテルは、CLリーグフェーズで、8試合を戦い、11得点とゴール数こそ多くなかったが、1失点と驚異的な守備力を誇った。それが、決勝トーナメントに入ってからは、ドラスティックに変化を遂げ、欧州を代表するチームとの6試合で15得点を奪う攻撃的チームとなった。その原動力が、アチェルビを中心としたDF陣にあるとコッロヴァーティは力説している。