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コラム 1か月前

ついにセリエA昇格。“冬の時代”を乗り越えたピサの物語。アメリカ人オーナーと共に歩むクラブ再興と未来への挑戦【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

インテルに敬意。来季は兄弟対決の実現も?

「2020年の夏、ある弁護士を通じて接触してきた。『サッカーが好きで、チェルシーの株主でもあった。イタリアに投資したい』と伝えてきた。彼はパルマ、スペツィア、サンプドリアなどいくつかのクラブへの投資を検討したものの、どれもしっくり来なかったようで、最終的にピサに興味を示した。彼はバカンスを過ごすフォルテ・デイ・マルミに近いクラブを所有することに魅力を感じたからだ」

 ピサの本拠地、アレーナ・ガリバルディの立地の良さもクナスターには魅力的だったようだ。スタジアムは斜塔から250メートルの距離にあり、ピッチ中央から斜塔を目にすることもできる。中心地からこれほどアクセスの良いスタジアムは、イタリアでは極めて稀だ。スタジアムの改修計画も進んでいるが、現在の場所にとどまり、ウディネーゼやアタランタのように、試合を開催しながら、スタジアムを新しくしていくこととなるようだ。

 インザーギは、今季のすべての試合で3-4-2-1のシステムを採用している。平均年齢が25.5歳と若いチームで、27歳のアドリアン・シェンペルがこのチームの第1GKだ。クロアチアのU-21までの各世代別代表を経験。キエーヴォとジェノア時代にセリエAでもゴールマウスを守った。

 主将は、センターバックを担うアントニオ・カラッチョロ。ピサが最後に昇格をした1990年の生まれだが、今季も35試合に出場して、セリエBで5番目に平均年齢が低かったチームを牽引した。

 中盤は、ルーマニア代表として30試合のキャップ数を誇る26歳のマリウス・マリンが統率する。セリエCの18/19シーズンから所属する古株。代表経験が来季の戦いでも活かされるはずだ。24歳のガブリエーレ・ピッチニーニも違いを生み出すことのできるプレーヤーだ。今季は、38試合すべてに出場し、4得点6アシストと攻撃面で大きな貢献を果たした。

 そして、得点源は、左サイドを主戦場するスピードスター、25歳のマッテオ・トラモーニ。テクニックに加え、今季は得点能力を開花させた。初の2桁得点となる13ゴールをマークして、得点ランキングで5位に名を連ねている。

 ピサは現在、青と黒をチームカラーとしているが、クラブ結成当初、街のカラーである赤と白を採用していた。だが、この配色はすぐに変更され、09/10シーズンにインテルがカンピオナートで優勝したことに敬意を表し、彼らのカラーである青と黒が取り入れられた。

 そして、奇しくもそのインテルを指揮するのが、ピッポの弟、シモーネ・インザーギだ。これまでも2人の対決は実現してきたが、来季は2人共に、青と黒を象徴とするチームを率いての対決となる。これまでの二人の対決以上に注目を集めるカードとなることは間違いないだろう。

(文:佐藤徳和)

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【了】

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