アトレティコの守備を破壊したパリの速攻
結果はPSGの快勝だったとはいえ、アトレティコが形成したミドルブロックは非常に強固だった。FW2枚と中盤2枚、それにボールサイドのサイドハーフが連動して手前の選択肢を潰し続ける。サイドを変えても同じように選択肢を消されてしまうため、PSGも中々前進することができない。
一列越えることができたとしても、最終ラインまでしっかりとスライドしてボールホルダーに1stディフェンダーを決めてくるため、ボールを後ろに戻さざるを得ないシーンもしばしば。アトレティコはそのバックパスをトリガーにハイプレスへと移行することで、相手を押し返すことに成功していた。
しかし、ここで焦れないのが現欧州王者の実力。ミドルで構える相手に対し、落ち着いて後方でボールを保持する。閉じられたブロックの手前に前線3枚が落ち、ボールを出し入れして相手DFを釣りだす。手前で引き取った選手が前を向いて前進→崩しに移行することはできないが、食いついた相手DFの背後のスペースに必ず中盤かサイドバックが飛び出し、ぴったりのタイミングでボールが供給される。
UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝のようなシームレスな崩しへの移行ができなくても、最終ラインの背後のスペースを使った縦に速い攻撃を仕掛け、何度もシュートチャンスを作り出す。たまらずアトレティコは背後を警戒し、ラインを押し下げるしかない。そうなればPSGはより保持の位置を高め、崩しの回数も増えてゆく。今季の“強さ”を思い知らされる展開となった。