現役時代の名声を重視した印象が拭えない

【写真:Getty Images】
ガットゥーゾは現役時代、“リンギオ(狂犬)”の異名で恐れられ、人並み外れた闘志で戦ってきた。指導者となった現在、その表情は現役時代以上に険しくなり、威圧感すら漂わせている。抜け殻となった選手たちに“気合い”を注入することは可能かもしれないが、情熱や闘志だけで勝てるほど甘いものではない。
ラニエリの辞任後、メディアやファンからは、ジョゼ・モウリーニョを推す声が根強かった。インテルを3冠に導き、ローマではECLのタイトルをもたらした、言わずとしれた名将だ。だが、実現には至らなかった。
イタリア代表は、アルゼンチンとフランスの二重国籍を持つエレニオ・エレーラ(フェッルッチオ・ヴァルカレッジとの二頭体制)を最後に、60年近く外国人監督の招聘はない。やはり「自国出身の監督で」という体面を重んじるのだろうか。
では、ジャンニ・デ・ビアージの線はなかったのだろうか。アルバニア代表とアゼルバイジャン代表を指揮した経験を持つ69歳のベテラン監督だ。アルバニアでは、51試合で指揮を執り、EURO2016では同国史上初の本大会出場権を獲得している。実績に乏しいガットゥーゾよりも適任であったと言えるだろう。
実際、モウリーニョの次に、デ・ビアージを推す声が多く、ガットゥーゾの就任に対しては不安の声が相次いでいた。だが、RAIのラジオ番組『Radio anch’io sport』に出演した本人は「FIGCから接触は一切なかった」と述べている。FIGCは監督としての実績よりも、現役時代の名声を重視した印象が拭えない。
初陣は9月5日、ベルガモでのエストニア戦だ。同国は6月9日に行われたノルウェー戦で敗れはしたものの、0-1と奮闘した。FIFAランキングは121位であるが、今のイタリアに“確実に勝てる相手”は存在しない。ガットゥーゾは初戦を勝利で飾り、そして、もはや出場することが悲願となってしまったW杯にアッズーリを導くことができるのだろうか。
(文:佐藤徳和)
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