昇格組が残留達成に欠かせない条件
積極的な動きをみせている昇格組についても触れておきたい。
『プレミアリーグの未来が危ない。“ビッグ6”の崩壊と大接戦が意味する、イングランドフットボール界の深刻な問題とは【コラム】』でも書いた通り、2023/24シーズン以降は「2022/23シーズン以前からプレミアリーグに在籍している17クラブ」+「昇格組」という構図でリーグを戦っている。
これが1部と2部の戦力差が広がった最大の理由であり、2年連続で昇格組が全て降格となったことで、2025/26シーズンもこの流れが続く。
2022/23シーズンの昇格組であるフラム、ボーンマス、ノッティンガム・フォレストがすべて残留したこと、続く2023/24シーズンの昇格組だったバーンリー、シェフィールド・ユナイテッド、ルートン・タウンが1年で降格したことが始まりだった。
彼らが残留できなかった理由を分析すると、苦戦を余儀なくされる昇格組の傾向が見えてくる。
バーンリーとシェフィールド・ユナイテッドに関しては、主力の流出が相次ぎ、2部時代の方が間違いなく強かった。ルートンは彼らの歴史上においては最大規模の補強を行ったが、トータルの支出額は20クラブでダントツワーストの2600万ユーロ(約41.6億円)に留まっている。
昇格組については、別の機会により詳しい記事を書こうと思うが、残留の目標を達成するためには、少なくとも「2部時代からの戦力ダウンを最低限に留めること」と「残留を目指すために上積みとなる補強を行う」の2点が重要となる。
現時点では、一部主力の流出がある一方で、充実している補強を行うことができていると言えるだろう。プレミアリーグとチャンピオンシップの格差はかつてないほどに開いているのも事実だが、2025/26シーズンは 中堅クラブの主力流出をチャンスと捉えて勝負をかける時である。
2024/25シーズンに生まれた「トップ17」とも言える拮抗したプレミアリーグの勢力図は崩れるのだろうか。8月16日からの新シーズン開幕が待ち遠しい。
(文:安洋一郎)
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