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コラム 4か月前

「壁にぶち当たりに行く」鈴木唯人は逆境を糧にブンデスリーガへ駆け上がった。苦しい日々と引き換えに「必ずいいときが来る」【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

わずか4ヶ月に終わったフランスでの挑戦「その先に必ずいいときが来るっていうのは分かっていた」

「フランスに行って試合に出られなかった時期も、別に自分としては何の問題もないとまでは言わないですけど、特別なことではなかった。その先に必ずいいときが来るっていうのは分かっていたので。壁にぶち当たりに行くというか、難しい環境に身を置くことが、間違いなく成長するには一番早いと思っている」

 フランスにいた4か月だけを見るのであれば、失敗という烙印が押されてしまうかもしれない。ただ、人生は短いようで長い。のちに成長することができれば、その経験を誰も失敗とは呼ばなくなる。

「その先に必ずいいときが来るっていうのは分かっていた」

 それを知ったのは、市立船橋にいたときだった。

 9年ぶり5回目の全国高校サッカー選手権優勝を果たした市立船橋が、まだ小学5年生だった鈴木の記憶に焼き付いていた。鈴木は神奈川県に住んでいたが、千葉県船橋市の公立高校へ進学している。

 名門校で待ち受けていたのは厳しい現実だった。高校1年生の頃はトップチームでは出場ゼロ。ただ、3年生が引退し、新チームの立ち上げ期の練習試合で立場が変わった。息の合う選手とともに起用されたことで良さを発揮し、それが自信となった。

 清水での1年目も「最初はずっとトレーニングにも入れなかった。別メニューでグラウンドの横でやってた」という。ただ、それも小さなきっかけから飛躍のチャンスを掴む。鈴木と同じポジションに負傷者や新型コロナウイルスの陽性反応が出た選手が相次ぎ、中断明けに出場機会を掴んだ。

 苦しい日々と引き換えに、成長を掴む。その中で気づいたことがある。

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