フットボールチャンネル

コラム 4か月前

イタリアで立て続けに起きる悲劇。SPALがついに“消滅”へ。セリエA経験もあるクラブが、地獄へと落ちた原因は【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

魅力あふれるSPALの本拠地

 SPALの名が日本でも知られるようになったのは、16/17シーズンのセリエB制覇、そして翌シーズンのセリエA復帰を果たしたときだろう。49年ぶりのトップリーグ帰還1年目は、17位と首の皮一枚を残しての残留であったが、2年目の18/19シーズンは、13位と順位を上げた。

 しかし、14/15シーズン途中の12月から指揮を執り、レーガ・プロ(当時の3部リーグ)から、トップリーグまで引き上げたレオナルド・センプリチ監督の求心力も低下。チームが降格圏を漂う中、2020年2月には解任され、ルイージ・ディ・ビアージョを新監督に招へいしたが、悪い流れを断つことはできず、最下位で降格の憂き目に遭った。

 SPALは、エミーリャ・ロマーニャ州フェッラーラ県の県都、フェッラーラ市を本拠地とする。ルネサンス期にはエステ家によって、街が整備され、文化の中心地として繁栄した。

 平地のフェッラーラは、自転車の町として知られ、約13万人の市民に対して、約10万台の自転車が所有されているという。通勤・通学時の自転車の使用率は24%。環境に優しい街である。

 本拠地は1928年からスタディオ・パオロ・マッツァを使用。イタリアでは貴重な、サッカー専用スタジアムだ。現在は1万6134人の収容能力を有し、すべての客席が屋根に覆われている。立地の良さも魅力で、駅とエステンセ城が聳える中心街を結ぶ間に構える。街の玄関口、フェッラーラ駅から徒歩10分以内で到着することが可能だ。

 また、2022年には、ユースチームに特化したトレーニング施設『カーザ・SPAL』も開設された。サッカーグラウンドに加えて数多くの部屋が設けられ、最大で70人の選手を受け入れられる。この施設もまた、中心街からのアクセスが良く、クラブにとって欠かせない拠点となっていた。

1 2 3 4 5 6

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!