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Jリーグ 3か月前

「本当に困った時、周りも理解して…」ベガルタ仙台で小林心はきっかけをつかんだ。いま活かされる高知での学び【コラム】

シリーズ:コラム text by 小林健志 photo by Getty Images

順調だった加入直後から小林心がチームにフィットするまで

「逃げ場と言うか、本当に困った時に心がタイミングよく走ってくれるのを周りも理解して、そこを使おうという意識も上がってきてくれているので、そこで出し手と受け手のタイミングも合ってきています。心もボールが入ったところで何とか周りの上がりを待って時間をつくってくれて、味方に渡すというシーンも何回か作ってくれたので、周り、チームとしては非常に助かります。特に攻められて守備の時間が長い時に、あそこで前で起点となって後ろの上がりとサポートを待って、相手陣地になればしばらくボールを持てるので、本当に良い働きしてくれたなと思います」

 ここまで得点力不足に苦しんでいた仙台だったが、小林が時間をつくるドリブルをすることによって、攻撃にバリエーションが生まれている。

 ここに至るまではやはり少し時間がかかった。小林がJ3の高知ユナイテッドSCから仙台に完全移籍すると発表されたのが6月2日。今季J3に初参入した高知のエースストライカーとして開幕から13試合で10ゴールを叩き出し、一躍J3得点ランキングのトップ(当時)に立ち、注目を集めていたところ、得点力不足に苦しむ仙台からオファーが届き、移籍が実現した。

 デビュー戦となった第19節・モンテディオ山形戦では、やはり小林のカウンターが相手DFを引き付けゴールの起点となり、終盤ファウルを受けて得たフリーキックのチャンスを武田が決めて劇的勝利の立役者となった。第21節・ジュビロ磐田戦では移籍後初ゴールを決めるなど、加入直後は順調だった。

 しかし、7月に初めて先発出場した第22節・カターレ富山戦は引いた相手に苦しみ、背後へ抜け出す場面やゴールチャンスをなかなかつくれず0-1で敗れ、第23節・藤枝MYFC戦は途中出場するもゴールに絡めなかった。8月に入り迎えた第24節・V・ファーレン長崎戦はベンチ入りしたものの出場機会が無く終わっている。

「小林をもっとうまく使いたい」。8月10日の第25節・徳島ヴォルティス戦後の会見で森山監督は再び先発起用した理由を語り、周囲にもDFラインの背後にシンプルにボールを送る動きを求めると、背後のスペースを突くことを得意とする小林はゴールチャンスをつくったが、決め切ることはできなかった。

 そんな中、この千葉戦では周囲から使われるだけでなく、周囲を使うプレーも目立った。得点シーンの前にも背後に抜け出した荒木にスルーパスを出し、あわやゴールという場面を演出した。

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