ガンバ大阪は23日、明治安田J1リーグ第27節で横浜FCと対戦し、連敗を3でストップさせた。ダニエル・ポヤトス監督就任3年目は、昨季リーグ4位に食い込んだ力を復権の足掛かりにしたいところだったが、選手の入れ替わりでその歯車が狂っている。なぜ、思い描いた戦いができていないのか。システム的な構造を分析し、今季のガンバを紐解く。(文:らいかーると)
今季もハイプレス計画を進めていくガンバ大阪だったが…
【写真:Getty Images】
昨年の天皇杯は準優勝、リーグ戦は4位で、今年はAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)に参加するガンバ大阪。ダニエル・ポヤトス監督のサッカーも浸透してきたところで、今季は勝負だぜ!と誰もが意気揚々だったに違いない。
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しかし、現時点での順位は12位と、思ってたんと違う!シーズンになってしまっている。降格を心配することは現実的ではないが、ACL2が始まって過密日程になると、また別の話になってくるガンバ。そんなガンバのここまでの歩みについて、みんなで考えていきたい。
猫も杓子も【3-2-5】が流行っているJ1において、ガンバは数少ない【4-4-2】の使い手だ。ボールを保持するときに「3バック」に変化することはガンバにとってもお手の物だが、ボール非保持では【4-4-2】を頑固に貫いている。開幕戦で今季は繋ぎ倒す覚悟を決めたセレッソ大阪といきなりのダービーを迎えたことは不運な巡り合わせとなった。今季は「ハイプレス」を実行するつもりだったガンバの計画を破壊するには十分な試合となってしまったからだ。
余談だが、世界を見渡しても、ハイプレスを【4-4-2】のままで行うチームはほとんど見かけなくなっている。あるとすれば、「サイドハーフ(SH)の外切りで、2トップは背中で相手の中盤を消す」形が現実的なのではないだろうか。一方でこの新しい形を【4-4-2】と呼ぶことにどうしても抵抗を覚えてしまう。ちなみに、同じ【4-4-2】を採用している浦和レッズはハイプレスの計画に苦しみ、鹿島アントラーズは2トップの根性を支えきれずにそのつけを後ろの選手たちが払い続けている。
【4-4-2】ハイプレス軍団の唯一の光明がヴィッセル神戸かもしれないが、先日のセレッソとの試合でビルドアップで振り回されゴールまで決められてしまっていることを考慮すると、【4-4-2】の形のままでハイプレスを行うことの困難さを嫌でも実感させられてしまう。ビルドアップの進化にともなって、「ハイプレスはマンマーク」、「ミドルや撤退するときは自分たちの配置」が世界中のデフォルトになりつつある。目標とした「ハイプレス」は置いておいて、ガンバも基本的にはミドルで構える形を自分たちのサッカーとしている。