論理性と非論理性。稀有なセレッソ大阪
分析シリーズで書きやすいチームは、監督が頑固なチームである。例えば、【4-4-2】でプレッシング、ハイプレッシングはマンマーク、とにかく3トップにロングボールを!が最優先。対戦相手がどのチームだって自分たちのサッカーを貫くチームは、いつも同じことをするので、分析が簡単になる。試合ごとの差異が少なく、どのようなサッカーをするかという意思も明確だからだ。
相手によって、自分たちの表情を少し変えられることをセレッソは特徴としている。時間帯やスコア、相手の戦術によって、自分たちのスタイルを適応させることもあれば、自分たちのスタイルで飲み込もうとするときもある。相手と会話をするという意味でも、現在のセレッソは論理性と非論理性を兼ね備えた稀有なチームになりつつある。
試合の序盤は安全にプレーすることが多い。安全にと言ってもハイプレス、ハイラインを基調とするポステコグルースタイルは健在だ。ときにはキックオフで相手ボールにするようなパリ・サンジェルマンスタイルを披露するくらいにハイプレスに対してやる気満々である。
空中戦の的として活躍する選手は、チアゴ・アンドラーデ。前線が同数ならどんどん蹴り込んでトランジションサッカーも上等なスタイルは3バックが広まっている日本において効果を発揮しつつある。
ロングボールで相手を苦しめたかと思いきや、試合の主導権を握るためにボール保持にスタイルを徐々に変化させることもセレッソの恒例の流れになっている。ビルドアップに貢献できる福井光輝を何度も使いながら、ビルドアップの出口を探し続ける姿勢と、ボールを繋ぐなかで、畠中槙之輔がセンターバック(CB)からアンカーのように立ち位置を変更する景色はセレッソの日常になっている。