フットボールチャンネル

コラム 3か月前

両WBがフィニッシュに絡めない。三笘薫はその課題に直面する。サッカー日本代表の戦術と自分らしさを両立するため【現地コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by 加藤健一

“ドリブラー”から変貌を遂げる三笘薫

 森保一監督は69分に3枚替えを断行。ここから三笘と堂安はシャドウへ移動。2人はよりダイレクトにゴールに迫っていく仕事が期待された。

 だが、この時間帯はメキシコも反撃に出て、日本は苦しい状況を強いられる。結局、流れを変えられないまま、彼は81分に交代。2024年9月のFIFAワールドカップ(W杯)26・アジア最終予選(3次予選)・中国代表戦以来の代表9点目は次戦以降にお預けとなった。

 今、改めて1年間の最終予選期間を振り返ってみると、三笘が決定的チャンスを演出したり、圧倒的な推進力でゴールまで突き進むようなプレーはあまり見られなかった。前述の通り、守備負担が大きくなっているのが一因と見られるが、局面打開以外の多彩な役割を担うようになったことも大きいだろう。

 所属先のブライトンでも、三笘は“ドリブラー”から“マルチアタッカー”へと変貌を遂げている。そのこと自体は選手として前向きな変化と言えるが、今の日本代表には突出した点取り屋がまだいない。

 背番号7が個の力を前面に押し出し、グイグイとゴールに迫っていき、実際に得点を挙げるシーンを増やさなければ、勝利の確率が上がらないのも事実。本人もそのことをよく分かっているはずだ。

 メキシコ代表戦後に不完全燃焼感を色濃くにじませたのも、「チーム戦術を遂行しながら、自分らしさをどう発揮していくべきか」というバランスに苦慮しているからではないか。

 守備やハードワークを高いレベルで維持し、左のタッチライン際を無尽蔵にアップダウンして、そのうえでドリブル突破からゴールまで決めるというのは、極めてハードルの高い役割だ。困難を承知のうえで、三笘がその高い領域に到達できれば、日本代表は最高の武器を手に入れることになるだろう。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!