ビルドアップに影響した司令塔不在
負傷者続出の緊急事態だった守備陣、とくに該当者なしの左CBには瀬古歩夢が起用された。板倉滉、渡辺剛、瀬古の3バックに大きな問題はなく、2回ほど際どいシュートは打たれているが選手層の厚さをみせていた。
中央の渡辺から精度の高いロングパスが南野、堂安へ届けられていて、板倉や瀬古の中間ポジションの相手を前進して潰す守備も良かった。
ただ、ミドルゾーンで構える守備になってからは必然的にボール奪取地点も低くなり、そこからのビルドアップがスムーズではなくなった。鎌田大地が交代した影響はあったと思う。
今回は守田英正、田中碧を招集しておらず、司令塔不在の問題が浮き彫りになった感がある。CB以上にボランチが緊急事態だったかもしれない。
60~70分以降の戦い方を整理できれば、中堅国には十分勝利できるメドが立ったのは収穫だった。
ハイプレスが通用しない、あるいは通用する時間が短くなる強豪国に対してどう戦うのかは現時点では何とも言えない。
カタールW杯ではドイツ、スペインの各国代表に勝利し、クロアチア代表とは引き分け(PK戦敗退)、強化試合でも欧州勢にはことごとく勝利している実績もあるので、さほど心配はいらないかもしれないが、そこは未知の部分。予定されているブラジル代表戦あたりが試金石になるのだろう。
とりあえず、中2日の米国戦はメキシコ戦で出た課題にどう取り組むかが注目される。
(文:西部謙司)
【関連記事】
英国人が見たメキシコ戦「間違いなくW杯ベスト16には入る!」「久保建英は…」「遠藤航のレベルは…」
【柿谷曜一朗が語る】サッカー日本代表対メキシコ戦「相手の方がW杯仕様」「1番の武器である久保建英の…」「やっぱり遠藤航」
一体どうして…。サッカー日本代表に呼ばれなくなった選手5人