浦上仁騎の背中を押した、兄貴と慕う杉本健勇の言葉
「感情の揺れ動きは無茶苦茶ありました。数時間ごとに思いが変わったというか。残留した方がいいと思えば、数時間経つと、いや、これはチャレンジしないと後悔するっていうのが2日ほどグルグルと続きました。ただ、夏だったので決断の時間が本当になくて…」
そんな時に相談した一人が、浦上が兄貴と慕う杉本健勇。電話をすると兄は弟の悩みを瞬時に察知した。
「健勇君にはプライベートでも本当にお世話になりました。あの人は世間で思われているような軽い人じゃまったくないです。サッカーのことをめちゃくちゃ考えていて、あの人ほど色々な経験をしている人もいません。よく電話をするんですけど、僕が移籍の相談電話をしたらあっちもすぐに察したようで、『お前移籍やろ…』っていう一声から始まって…
健勇君はありきたりな言葉ではなくて、自身のこれまでの経験も踏まえながら『お前の好きにした方がいいで』って言ってくれて。それは僕にとっては本当に助けになる言葉でした。結局最後は自分自身の想いを信じるだけだなと。自分の性格的にも、チャレンジすることは好きだし、これまでの人生もそういう選択をしてきました。これは自分の現状を変えるきっかけになると、札幌への移籍を決意しました。そして、その瞬間から札幌のことしか考えていなかったです」
新天地に籍を移し、見えてきたクラブの強みと課題。断固たる決意で完全移籍を果たした浦上はチーム好転のために憎まれ役も厭わない覚悟でチームメートと接した。