“軸”は誰なのか。参考材料になった2試合
ここ20年近く、日本の守備は中澤佑二、田中マルクス闘莉王、吉田麻也といった、信頼できる中核選手に支えられてきた。その横には常に堅実なサポート役が入り、センターバックの安定性を保っていた。しかし現在、その“軸”が誰なのかは定かでない。
前回ワールドカップ後に吉田が代表から外れたことで、冨安健洋がその役割を引き継ぐと見られていたが、彼の度重なるケガによってその期待は大きく後退した。冨安はすでに15か月、日本代表に招集されていない。
伊藤洋輝も昨夏バイエルン・ミュンヘンに移籍後、ケガに悩まされている。町田浩樹は最近ACL(前十字靭帯)を断裂し、数か月は戦列を離れる見込み。板倉滉は好不調の波が激しく、高井幸大は将来有望な存在ではあるが、トッテナムでの生活に適応するこの1年で多くの出場機会が与えられるかは不透明だ。
つまり、森保は今後の代表ウィークで、ほぼ即席の新たな最終ラインを編成せざるを得ない可能性が高く、今回の2試合はその参考材料となった。
メキシコ代表戦では、板倉、渡辺剛、瀬古歩夢の3人が見事な守備を見せた。ラインの統率力、読みの鋭さ、球際の強さ、そしてシンプルかつ効果的な配球が際立っていた。
一方、米国代表戦では状況が一転。ビルドアップ時にボールを安易に失い、無駄なロストが目立った。