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Jリーグ 2か月前

京都サンガF.C.で「もう一度」。佐藤響が何度も「曺さん」と口にする理由。自信を失っていた時に訪れた“偶然”【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

 明治安田J1リーグ第31節、京都サンガF.C.とFC町田ゼルビアの上位対決は1-1のドローに終わった。途中出場した佐藤響は、試合終了間際の果敢なプレーで勝ち点1をもぎ取るPKを獲得した。数々の挫折を経て成長を遂げた男は、恩師・曺貴裁監督への恩返しを胸に、残り7試合に全力を注ぐ覚悟を示している。(取材・文:藤江直人)

「頭はけっこう強いほうなので」

京都サンガF.C.、佐藤響
【写真:Getty Images】

 恐怖心は微塵にも感じていなかった。この場面でチャレンジしなかったら、むしろ自分の存在価値はない。京都サンガF.C.の左サイドバック(SB)佐藤響は心のなかで覚悟を決めて飛び込んでいった。

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「気持ちで頑張りましたし、怖さはなかったです。普通だったら痛いかもしれないけど、頭はけっこう強いほうなので。このへんを(相手選手に)思い切り蹴られた感じですけど大丈夫です」

 前頭部を指さして苦笑した佐藤は、飯田淳平主審がホイッスルを鳴り響かせてからしばらくしてもFC町田ゼルビアのMF沼田駿也に蹴られた箇所を押さえ、ペナルティーエリア(PA)内の左側でうつ伏せになって倒れていた。

 対照的に沼田は仰向け状態のまま、呆然とした表情で敵地の夜空を見あげている。佐藤が笑いながら続けた。

「(状況が)ちょっとわからなかったので、とりあえず倒れておこうかな、と」

 町田をホームのサンガスタジアム by KYOCERAに迎えた23日のJ1リーグ第31節。キックオフ前の時点で、勝ち点51で5位の町田に対して京都は同55の2位。試合開始時刻が1時間早かった首位の鹿島アントラーズはすでにセレッソ大阪を逆転で下し、勝ち点を61に伸ばしていた。

 敗れたチームが優勝争いから大きく後退する6ポイントマッチは、町田が16分にDF岡村大八が決めた先制点を死守したまま、9分台が表示された後半アディショナルタイムに突入していた。

 そして、右タッチライン際の深いエリアでボールを受けたMF平戸太貴が、町田ゴール前の中央へクロスを入れた直後だった。

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