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Jリーグ 2か月前

京都サンガF.C.で「もう一度」。佐藤響が何度も「曺さん」と口にする理由。自信を失っていた時に訪れた“偶然”【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「とにかく相手よりも先にボールに触ろうと」

 落下点に飛び込む味方のFW長沢駿とMFレオ・ゴメスを、町田のDFドレシェヴィッチとMF望月ヘンリー海輝が迎え撃つ。さらに町田の守護神・谷晃生もパンチングしようと飛び出してきた状況で、須貝英大に代わって85分から投入されていた佐藤はPA左側のスペースへ侵入していった。

「1点ビハインドの状況だったので、PA内へ侵入して仕事をしなきゃいけないと思っていました。ターゲットになる味方の選手がゴール前にいるので、絶対にファーへこぼれてくるチャンスがあると思って準備もしていました。そこは僕個人というより、チームとしての狙いでもありました」

 佐藤が振り返った通りに、クロスはゴール中央の混戦をすり抜けて左サイドに流れてきた。準備していた分だけ佐藤の反応が早い。近くにいた沼田はボールウォッチャー気味の体勢で慌てて対応した。

「実際にボールが流れてきたなかで、とにかく相手よりも先にボールに触ろうと」

 ワンバウンドしたこぼれ球は佐藤の胸のあたりに弾んでいる。先に触るには上半身を屈めながら、思い切り首を伸ばして飛び込むしかない。対照的に右足でのクリアを試みた沼田は、死角の位置から姿を現した佐藤に初めて気がついた。次の瞬間、右足はボールではなく佐藤の前頭部をヒットしてしまった。

 選手の具体名にこそ言及しなかったものの、町田の黒田剛監督がPKを与えた場面を悔やんだ。

「振った足に対して相手の頭が出てくるケースもある。頭で押し出してクリアするとか、あるいは競り合うプレーをしなければいけなかった状況で、その点では首位を争っている京都さんに上回られました」

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