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Jリーグ 2か月前

京都サンガF.C.で「もう一度」。佐藤響が何度も「曺さん」と口にする理由。自信を失っていた時に訪れた“偶然”【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「曺さんと出会っていなかったら…」

 生まれ育った栃木県小山市で活動していた東京ヴェルディの下部組織から茨城県の水戸啓明高校を経て、2018年に関東大学サッカーリーグの流通経済大学へ入学した佐藤は、2年生を終えた時点で卒業後のプロ入りなどはまったく考えていなかった。チームのなかで埋もれ、精彩を欠いていた理由をこう明かす。

「サッカーに対して、あるいは勝負事に対して本当に自信がなくなっていた状態だったので」

 ターニングポイントが訪れたのは2020年。指導の一部がパワーハラスメント行為と認定されて前年10月に湘南ベルマーレの監督を退任し、日本サッカー協会(JFA)から1年間の公認S級コーチライセンス停止処分を科されていた曺貴裁氏が、サッカー部のコーチを務めた3年生の1年間だった。

 偶然に導かれた出会いがなければ「プロになっていなかったかもしれない」と佐藤が続ける。

「曺さんが来てから勝負の大切さや、サッカーを楽しむマインドを教えてもらって、本当に自信をもってプレーできるようになったし、だからこそプロになれたと思っています。曺さんと出会っていなかったら、正直、どうなっていたかわからないし、曺さんとの出会いがいま現在につながっていると思います」

 自信を胸に秘めながら、卒業後の2022シーズンに当時J1のサガン鳥栖へ加入した。

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