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J2 2か月前

「これほどの才能の持ち主と…」RB大宮アルディージャに入閣したスチュワート・ウェバーとは何者か。欧州で評価された理由【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎

評価を高めたハダースフィールドでの改革

 ウェバーは先述した『Training Ground Guru』のポッドキャストで、「自分は何かを作り上げるのが好きなんだ」と明かしている。

 既存のクラブ文化にリスペクトを払いつつ、そこに新たな風を吹き込み、中・長期的な視点からチームを強化するのが彼の役割だ。ハダースフィールドでも「ドイツ」という新たな文化を持ち込んでいる。

 2015年11月に成績不振でクリス・パウエルを解任すると、新監督にドルトムントのセカンドチームを率いていたドイツ出身のデイヴィッド・ワグナーを招聘した。クラブ史上初の英国人以外の監督であり、当時ワグナーはトップチームを率いた経験がなかった。

 経験が浅い外国人監督を招聘することは挑戦的な人事とも言えるが、この異例とも言える抜擢がハダースフィールドを大成功に導いた。

 2シーズン目の2016/17シーズンはチャンピオンシップを5位で終え、プレーオフの末にプレミアリーグ昇格が決定。ウェバーが就任する以前は、15位以下が定位置だったクラブを45年ぶりのトップカテゴリー復帰に導いた。

 この成功の裏にあったのが、彼が主導したブンデスリーガの2部以下のカテゴリーからの積極的な補強だ。

 ウェバーは、ハダースフィールドで職に就いてからチャンピオンシップとブンデスリーガ2部の類似点を見つけたそうだ。今でこそ海外から選手を獲得することが一般的になったが、当時は国内のクラブ同士での取引が主流だった。

 ドイツから多くの選手を獲得するにあたって、彼らの能力を発揮しやすい環境を作るために、ドルトムントのセカンドチームで若手選手を指導していたワグナーに白羽の矢が立った。

 ワグナーは監督を務めると同時に、自らの目でスカウトしていた選手をウェバーに助言。彼の教え子を含む6選手をドイツの2部以下から安価の移籍金で獲得し、彼らの大半が主力となってプレミアリーグ昇格を果たした。

 ハダースフィールドの基盤を作ったウェバーだったが、昇格を達成する前の2017年4月に熱烈なオファーに応じる形でノリッジへと移籍する。

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