ノリッジでの改革
2015/16シーズンにチャンピオンシップへと降格していたノリッジは、2016/17シーズンを8位でフィニッシュ。ロビー・ブレイディやネイサン・レドモンドら主力を引き抜かれ、チームの立て直しが必須の状況でウェバーがクラブ史上初のSDとして招聘された。
彼に熱烈なオファーを出した当時のオーナーであるデリア・スミスは、2018年の『The Guardian』のインタビューで、1996年にフランスのAJオセールを訪ねた際に44年間クラブを率いたギー・ルー監督に大きな影響を受けたと明かしている。
ルーが監督に就任した当時のオセールはアマチュアクラブだったが、彼の手腕と地域密着型の育成力で1部へと昇格し、1995/96シーズンにはリーグ優勝を達成。1998年のフランスワールドカップ(W杯)にベルナール・ディオメドら3人の優勝メンバーを輩出していた。
アカデミー出身の選手を重宝することで、長期的な視点で強化に成功したオセールをモデルに、ノリッジはウェバーSDの下で大規模な改革を行う。アカデミー施設に大規模な投資を行い、継続的にトップチームへ戦力を供給する枠組みを作った。
2017年5月には、ワグナーの後任としてドルトムントのセカンドチームを率いていたダニエル・ファルケを新監督に招聘。アカデミー出身の選手をトップチームに抜擢しつつ、補強はハダースフィールド時代と同じく、他クラブはほとんど未開拓だったドイツ方面が中心だった。
ファルケを新監督に招聘した理由の1つにあったのが、若手選手の扱いに慣れていたこと。彼は直前までドルトムントのセカンドチームを率いており、ノリッジでもジャマル・ルイスやマックス・アーロンズ、トッド・キャントウェルらをトップチームで起用した。
ジェームズ・マディソン(2017年夏に退団)やベン・ゴドフリーのような若手も重宝したことで、スカッドの平均年齢は短期間で劇的に若返る。
ファルケが就任する直前の2016/17シーズン最終節のスタメンの平均年齢が28歳だったのに対して、2017/18シーズン最終節の平均年齢は24.4歳。1年で3歳以上も若返った。