異なるクラブへと成長させた手腕
ウェバーが評価されるべきポイントは、チームを若返らせただけでなく、同時に短期的な強化にも成功していること。チャンピオンシップで通算65ゴールを決めたテーム・プッキや守護神ティム・クルルはフリーで獲得しており、限られた予算内で効率よく戦力アップに成功した。
補強と若手の成長が噛み合ったファルケ体制2季目の2018/19シーズンにチャンピオンシップを優勝。1年で降格の憂き目に合ったが、2020/21シーズンも優勝を果たし、2度の昇格とトロフィー獲得という偉業を達成した。
当然ながらプレミアリーグに残留し続けることがベストではあったが、ノリッジは独立採算制のクラブであり、オーナーの資金が投入されることがない。すなわち、自分たちで売り上げを立て続ける必要がある。
この環境において、2度のプレミアリーグ昇格は長期的な経営の安定を考えると極めて大きい功績だ。
ウェバーがノリッジで残した功績はアカデミーの強化と2度の昇格だけではない。それまでクラブと縁がなかった南米出身の選手を獲得のリストに加え、2022年夏にはブラジル人MFガブリエル・サラとチリ人MFマルセリーノ・ヌニェスを獲得した。
両者はすでに退団しているが、いずれも獲得時よりも高額な移籍金で売却できており、フットボールの国際化が進む中でスカウト網を大きく広げ、その上で大きな利益を生んだ。
ウェバーがノリッジに残した功績の大きさは、2023年の退任時にクラブの大株主だったデリア・スミスとウィン・ジョーンズ夫妻のコメントからもうかがえる。
彼らは「これほどの才能の持ち主と仕事をしたことはない。(中略)私たちは彼が2017年に加入したクラブとはまったく異なるサッカークラブであり、将来への強固な基盤を築いてくれた」と感謝の言葉を残した。