「『まさか喜田が』というのもあるだろうし」
トップチームに昇格して13シーズン目、U-22Jリーグ選抜の一員としてJ3リーグに9試合出場したのち、2014年8月23日の川崎フロンターレ戦で中村俊輔に代わってトップチームデビューを果たしてから11年、その間に喜田がJ1リーグで決めたゴールは、286試合でたった4つしかなかった。
シーズン複数得点を記録した経験もない。これまで喜田が果たしてきたマリノスに対する貢献は言い尽くせないほど多岐に渡るが、ゴールは最も縁遠いものと言っていいだろう。
それなのに、何としても勝ち点3が欲しい試合で先制点を決めてみせた。
しかも、最前線の位置でJリーグ屈指のセンターバック、アレクサンダー・ショルツのマークをかわしてダイビングヘッド。プロキャリアで一度しか決めていない頭で、まるで数々のゴールを重ねてきたストライカーのようなゴールを決めた。
「みんなからは、『まさか喜田が』というのもあるだろうし、『まさか頭で』とも言われはした」
表情を崩しながらそう話しもしたが、一方で自身がゴールを決めた意味についてこう答えてもいる。