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J1 2か月前

残留争いで愚痴を言うのか、黙々と自分にできることを取り組むのか。プロになって気づいた現役Jリーガーの「在り方」と「魅せ方」【コラム】

シリーズ:コラム text by 岡田優希 photo by Getty Images

常に結果が求められるプロサッカー選手という特殊な環境に身を置く岡田優希。契約満了を経験し、引退を覚悟したときもあったが、J3でサッカーキャリアをリスタートさせた。ゴールや勝利に喜びを感じることもあれば、ときに未熟さを感じ、絶望の淵に立たされる。そんなキャリアの中で得た気づきを赤裸々に綴る。(文:岡田優希)

ドイツに行くまでの自分は「在り方」が未熟だった


【写真:Getty Images】

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 早稲田大学を卒業後、当時J2のFC町田ゼルビアに加入しました。3年間で84試合に出場したった4ゴール。2021年12月に契約満了になった後は、ドイツに渡り4部リーグに所属する2チームにトライアウトとして参加しましたが契約にはなりませんでした。

 一時は引退も覚悟しましたが、2022年2月下旬にテゲバジャーロ宮崎に練習参加し、開幕2週間前の3月から加入しました。その後は2023年にギラヴァンツ北九州、2024年から現在までは奈良クラブに所属しています。

 前回のコラムでは早稲田大学ア式蹴球部時代にパラダイムシフトが起きた経験について綴りました。

 自分の「夢」から始まったプロサッカー選手への道が、ただ単にプレーするのみならず、「社会にどんな価値を提供するのか。」という視点を持ち、社会への広がりを持つことの大切さに気づきました。

 そんな想いでこれまで「Jリーガー」としてどこのクラブでも、どんな試合でもプレーをしています。

 ただプロとして求められるのは、前回の「在り方」で綴った「結果」のみ。

 少なくともドイツに行くまでの自分は、その「在り方」が未熟であったから、プロとして何も「魅せ」ていない。

 ですが人生を懸けた真剣勝負が人の心を動かし、ドラマを生むのではないでしょうか。

 勝負の世界に生きる以上、勝った負けた、ゴール決めた決めない、の二元論からどこまで行っても逃げられません。

 もちろん結果以外では評価されないし、どんな想いでプレーしているか、それがサポーターの皆さんに見えるかどうかはわかりません。

負けが続く残留争いの中で愚痴や文句を言うのか、黙々と自分にできることに取り組むのか

 でも自分にはわかっています。

 自己満足のためにプレーするのか、チームが勝つためにプレーするのか。

 決定的なチャンスが来た時に、確率が低くても自分で打つのか、横を走るチームメイトにパスを出すのか。

 チームがピンチに自分が戻らなければやられる時に、傍観するのか、スプリントができるか。

 チームの流れが悪い時に、誰もがボールを受けるのが怖い時に、相手に隠れてボールを受けないようにするのか、積極的にボールを受けて前を向いて仕掛けるのか。

 3点差、4点差のついたゲームで、自分の評価が下がらないように無難にプレーするのか、1点でも取るためにプレーするのか。

 負けが続く残留争いの中で、その他大勢に紛れて愚痴や文句を言うのか、黙々と自分にできることに取り組むのか。

 これらは全て結果に直結しないかもしれません。

 あとで振り返った時に誰にも理解されないかもしれないし、どこにも記録に残らないかもしれない。

 だけど、数あるエンターテイメントの中、スタジアムや画面越しに応援しているサポーターのため、クラブを支えてくれているスポンサー、行政の方々のため、試合を運営するために朝から準備している関係者のため、さらには日々切磋琢磨して競争しているチームメイト、監督、スタッフのために、90分間ベストを尽くしたい。

 その責任を背負って結果を出すから「プロ」なのだと思います。

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