サッカー日本代表は14日、東京スタジアムでブラジル代表とテストマッチを行い、3-2で逆転勝利を収めた。この一戦について、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。(語り手:ショーン・キャロル)[5/5ページ]
イングランドでも「『えっ!?』となると思います(笑)」
――71分、日本が逆転に成功です! 伊東が蹴ったCKを上田が頭でねじ込みました。
「なんってこと!! あり得ない流れになりましたね!」
――日本がブラジルから3点取ったのは初めてです!
「2点のビハインドからリードを奪いました! アンビリーバブル!」
――これから日本はどのようにプレーすべきでしょうか?
「できるだけ攻め続けないといけません。引いて守ると失点するリスクは何倍にもなるので、積極的に前からプレッシャーをかけた方がいいと思います」
――75分、町野修斗、田中碧、相馬勇紀が上田、南野、中村に代わって入りました。その相馬は入ってすぐにシュートを打ちました。
「相馬らしいですね!」
――日本は気合いが入ってきました。
「親善試合なのでもちろんW杯とは違いますが、本当にW杯のドイツ戦とスペイン戦を思い出させる一戦です」
――ドイツ、スペイン、ブラジル撃破は強烈なメッセージになりますね!
「そうですね!」
――勝てばイングランドでも話題になるでしょうか?
「この結果を目にした時、サッカーファンは多分『えっ!?』となると思います(笑)」
――前半と比較して後半の守備はどうでしょうか?
「間違いなく堅くなりましたね。ディフェンダーだけではなく、チーム全体の守備の意識と組織は改善されました。と同時にブラジルも少しバラバラになりましたが…」
――ここで試合が終了です! 3-2と逆転勝利を飾りました。歴史を作った一戦を振り返っていただけますか?
「勝ちました! 日本は前半と後半で別のようなチームでした! 後半の守備の組織とインテンシティは素晴らしかったです。チャンスも必ずモノにできたことも大きかったですね」
――きょうの試合のMVPは誰でしょうか?
「目立った選手がいなかったパラグアイ戦とは逆ですね。今日の試合はとても多かったです。攻撃の面では堂安と伊藤が印象的で、守備面では鈴木と谷口の対応が素晴らしかったです。でも、90分で考えれば、鎌田は本当に良かったと思います」
――試合の流れが変わるポイントとなったのはどこでしょうか?
「一つのターニングポイントがあったかどうかわかりませんが、日本の1点目は大きかったですね」
――後半に入り、守備が本当に良くなりましたね。まさかの大逆転勝利です。
「今夜は眠れません!」
――この2戦の収穫と課題を聞かせてください。
「収穫は諦めないことと、ファイティング・スピリットですね! でも、守備の課題がまだ残っています。今日は3点取りましたが、毎試合2失点してしまっています」
――そうですね。これで、W杯出場権後の試合は、1勝2分け1敗となりました。そのうちの1勝がまさかのブラジル相手です(笑)。
「サッカーは本当に凄いですね!」
――11月の2試合に向けて、注目したい点はありますか?
「ディフェンスですね。チームは攻撃で非常に効果的なプレーができるのがわかりますが、無失点の試合が見たいです。理想は無失点です」
――そうですね。ここ3試合は常に2失点しています。
「本当にW杯を優勝したいなら失点をせずに試合を終えることが重要ですね!」
――11月の2試合では、遠藤航と三笘薫も帰ってくるかもしれません。
「それも間違いなくプラスになりますね!」
――今日もありがとうございました。
▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。『ニッポンとサッカー 英国人記者の取材録』『英国人から見た日本サッカー “摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』の筆者。「Jリーグ Monthly」のレギュラー出演。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーやNHK、J SportsなどのJリーグ番組出演も。
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【了】