これまで多くの外国人監督がJリーグクラブを率いてきた。チームを成功へと導いた名将もいれば、その一方でクラブを混乱や崩壊の危機に直面させた指揮官もいる。今回は、Jリーグで指揮を執りながらも、期待に応えられず残念な結末を迎えた外国人監督を紹介する。[2/5ページ]
——————————
フアン・マヌエル・リージョ(ヴィッセル神戸/スペイン)
【写真:Getty Images】
生年月日:1965年11月2日
在籍期間:2018年10月~2019年4月
世界的名将ジョゼップ・グアルディオラが師として尊敬する戦術家、フアン・マヌエル・リージョが、2018年にヴィッセル神戸の監督に就任したというニュースは、国内外で大きな驚きをもって報じられた。
当時の神戸は「バルセロナ化」を掲げ、ポゼッションサッカーの構築を目指していた。
チームには元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ、元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキといったスター選手が名を連ね、クラブの掲げる理想を体現する存在として、リージョの就任はまさに待望といえた。
就任後のオフには元スペイン代表でバルセロナでも活躍したダビド・ビジャが加入。神戸には、これまでにない期待が寄せられた。
しかし、理想と現実のギャップはあまりにも大きかった。
リージョの掲げる攻撃的スタイルが実を結ぶ一方、守備の整備が追いつかず、バランスを崩したチームは開幕から失点を重ねる。
わずか7試合で12失点を喫したチームは、3勝1分け3敗と伸び悩み、順位は10位に沈んだ。
そしてシーズン開幕から2ヶ月が経ったタイミングで、突如としてクラブに激震が走る。
リージョが「私と家族にとって、こうすることがベスト」と言い残し、自らの意向で契約を解除しチームを去ったのだ。
あまりにもあっけない結末は、理想を追う難しさを痛感させる出来事となった。