これまで多くの外国人監督がJリーグクラブを率いてきた。チームを成功へと導いた名将もいれば、その一方でクラブを混乱や崩壊の危機に直面させた指揮官もいる。今回は、Jリーグで指揮を執りながらも、期待に応えられず残念な結末を迎えた外国人監督を紹介する。[3/5ページ]
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ルイス・カレーラス(サガン鳥栖/スペイン)
【写真:Getty Images】
生年月日:1972年9月24日
在籍期間:2019年2月~同5月
バルセロナやアトレティコ・マドリードなどでプレーしたルイス・カレーラスは、現役引退後にマジョルカやレアル・サラゴサなど複数のスペインクラブを率い、2019年にサガン鳥栖の監督に就任した。
当時の鳥栖は、3シーズンにわたって指揮を執ったマッシモ・フィッカデンティ監督のもとで堅守を武器に戦い、前年度は王者・川崎フロンターレに次ぐリーグ2位タイの34失点と、守備面では高い評価を得ていた。
カレーラスはその土台を継承しつつ、長年の課題だった攻撃面の改善に着手。攻撃的なポゼッションサッカーを導入し、チームに新たなスタイルを根づかせようと試みた。
オフには、かつてバルセロナでプレーしたイサック・クエンカを獲得。前年に加入した元スペイン代表ストライカー、フェルナンド・トーレスや金崎夢生との共演も実現し、“スペイン流鳥栖”への期待は一気に高まった。
しかし、理想は現実に押し潰される。
開幕戦で名古屋グランパスに0-4で大敗すると、その後も無得点試合が続き、リーグ開幕から3試合連続で完封負けを喫する。
カレーラスの攻撃的スタイルはチームに浸透せず、かつての強みだった守備も崩壊の一途をたどった。
リーグ戦9試合を終えた時点で、成績は1勝1分7敗。得点はわずか「1」。クラブは状況の改善を見込めず、カレーラスは就任からわずか3カ月で解任されることとなった。
その後、後任の金明輝監督がチームを立て直し、チームは辛うじてJ1残留を果たす。
スペイン流を持ち込もうとしたカレーラスの試みは、短期間でチームに混乱だけを残す結果となってしまった。