Jリーグの「オリジナル10」を構成する名門・名古屋グランパス。「リーグのお荷物」と呼ばれてきた過去を乗り越え、数々のタイトルを獲得してきた。その長いクラブの歴史の中で最も強かったシーズンはどの年だろうか。今回は、名古屋の歴史の中で特に輝かしい結果を残したシーズンをピックアップして紹介する。[2/5ページ]
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1999シーズン
監督:田中孝司→ダニエル・サンチェス→ジョアン・カルロス
主な獲得タイトル:天皇杯優勝
楢﨑正剛や山口素弘の獲得など、大型補強を敢行し、開幕前は優勝候補と目された1999シーズンの名古屋グランパス。しかし、期待とは裏腹に、チームは思わぬ混乱に見舞われることとなった。
シーズン2年目の田中孝司監督は、開幕直後の4月に解任。後任にダニエル・サンチェスが就任するも、2ndステージが始まると再び調子を落とし、こちらも途中交代の憂き目に遭う。9月からはジョアン・カルロスが新指揮官としてチームを託された。
そのジョアン・カルロスの就任後、名古屋は見違えるような戦いぶりを見せる。
リーグ戦では第6節のセレッソ大阪戦から最終節のヴィッセル神戸戦まで10連勝を達成。2ndステージ2位(11勝1分3敗)、年間総合順位でも4位(18勝2分10敗)と上位に食い込んだ。
Jリーグヤマザキナビスコカップ(現:JリーグYBCルヴァンカップ)でもベスト4進出を果たすなど、不安定な走り出しだったシーズンの中でも結果を残している。
そして、名古屋が真価を発揮したのが天皇杯だった。
第79回大会決勝、国立競技場に集った47,172人の観衆を前に、名古屋はサンフレッチェ広島と対戦する。
56分、ストイコビッチの正確なクロスに呂比須ワグナーが頭で合わせて先制。さらに82分には、相手守備網を華麗なドリブルで切り裂いたストイコビッチが追加点を奪い、2-0で4年ぶりとなる天皇杯制覇を成し遂げた。
ちなみに、横浜フリューゲルス(1998シーズン限りでクラブが消滅)出身の山口と楢﨑にとって、この栄冠は前回大会に続く“個人連覇”。抱き合って喜びを分かち合う姿は、新天地での意地と覚悟を感じさせた。
彼らはここからチームに欠かせない存在として、名古屋で活躍していく。
▽GK
楢崎正剛
▽DF
小川誠一
大岩剛
アレクシャンドレ・トーレス
石川康
▽MF
平野孝
山口素弘
タリック・ウリダ
岡山哲也
▽FW
呂比須ワグナー
ドラガン・ストイコビッチ
