Jリーグの「オリジナル10」を構成する名門・名古屋グランパス。「リーグのお荷物」と呼ばれてきた過去を乗り越え、数々のタイトルを獲得してきた。その長いクラブの歴史の中で最も強かったシーズンはどの年だろうか。今回は、名古屋の歴史の中で特に輝かしい結果を残したシーズンをピックアップして紹介する。[3/5ページ]
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2010シーズン
監督:ドラガン・ストイコビッチ
主な獲得タイトル:J1リーグ優勝
2010年、Jリーグはまさに鹿島アントラーズの天下だった。
前人未到のリーグ3連覇を果たした名門に対し、各クラブは包囲網を構築。ようやく鹿島から玉座を奪い取ったのが、名古屋グランパスだった。
名古屋は2008年にドラガン・ストイコビッチを指揮官として招へい。現役時代には名古屋の天皇杯優勝に貢献したレジェンドだが、監督経験は無かった。
そのため、同監督には当初懐疑的な意見もあったものの、就任1年目の2008シーズンで、クラブ史上初となるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得するなど、早々に結果を残している。
そして就任3年目となる2010シーズン、名古屋は大型補強に乗り出し勝負をかけ、田中マルクス闘莉王やダニルソンなど、チームの要となる選手を獲得。前年に獲得したジョシュア・ケネディや守護神・楢崎正剛を含め、各ポジションに柱となれる選手が揃った。
このタレント陣を、“ピクシー”ことストイコビッチ監督は圧倒的なカリスマ性で統率。リーグ戦では安定した戦いを続け、序盤から上位争いに食い込んだ。
ワールドカップの中断期間明けの6戦を5勝1分で切り抜けリーグ首位に浮上すると、その座を明け渡すことなく、第31節湘南ベルマーレ戦に勝利したことで、クラブ史上初となるリーグ優勝を決めた。
3試合を残してのリーグ制覇は当時史上最速だった。リーグ得点王には17ゴールのケネディ、MVPには全試合でゴールマウスを守り、11度のクリーンシートを達成した楢崎が選ばれている。
決めるべき人が決め、守るべき人が守る、堅実なサッカーの完成形ともいえるシーズンとなったといえるだろう。
チームを歓喜へ導いたストイコビッチは、この年のJリーグ最優秀監督賞に選ばれている。選手と監督の両方で最優秀賞に選ばれたのはストイコビッチが初めてであり、「妖精」はまたも自らの手で名古屋の歴史に筆を加えた。
▽GK
楢崎正剛
▽DF
阿部翔平
田中マルクス闘莉王
増川隆洋
田中隼磨
▽MF
ダニルソン
マギヌン
中村直志
▽FW
玉田圭司
ジョシュア・ケネディ
金崎夢生
