Jリーグの「オリジナル10」を構成する名門・名古屋グランパス。「リーグのお荷物」と呼ばれてきた過去を乗り越え、数々のタイトルを獲得してきた。その長いクラブの歴史の中で最も強かったシーズンはどの年だろうか。今回は、名古屋の歴史の中で特に輝かしい結果を残したシーズンをピックアップして紹介する。[4/5ページ]
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2011シーズン
監督:ドラガン・ストイコビッチ
主な獲得タイトル:なし
「最強の2位」という表現は、決して負け惜しみではないだろう。2011シーズンの名古屋グランパスは、クラブ史においてもトップクラスの強さを誇った。
前年にクラブ初のリーグ優勝を成し遂げ、連覇への期待が高まっていた2011年。開幕前のゼロックス・スーパーカップでは鹿島アントラーズを破り、幸先の良いスタートを切った。
しかし、3月に発生した東日本大震災によりリーグ日程は大きく変更。さらに主力の負傷が相次ぎ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)参戦による移動の負担も重なって、序盤は苦しい戦いが続いた。
リーグ戦では黒星が先行し、ACLもベスト16で敗退。思うように勝点を積み上げられない時期が続いた。
それでもチームは粘り強く立て直す。5月末に行われた第13節のアビスパ福岡戦をきっかけに調子を取り戻すと、夏場にかけて無敗を継続。連勝を重ねるごとに、スタジアムには再び勢いが戻っていった。
第15節・アルビレックス新潟戦ではクラブJ1通算300勝を達成するなど、節目の記録も重なった。
終盤戦に入ると、名古屋は確かな手応えをつかみながら優勝争いに踏みとどまる。
ラスト6試合をすべて勝利でまとめ、首位・柏レイソルを勝ち点1差で追いかけた。12月3日の最終節、アルビレックス新潟に1–0で勝利して逆転優勝へ望みをつないだが、柏も同時に勝利。“勝ち点1”というわずかな差が、連覇の夢を断った。
リーグ成績は21勝8分5敗の年間2位。Jリーグナビスコカップ(現在のJリーグYBCルヴァンカップ)はベスト4、天皇杯もベスト8と、国内の各タイトルでも存在感を示した。
シーズン終盤の勢いと完成度の高さから、冒頭でも触れたように「最強の2位」と称されたのも頷ける。
栄冠に届かなかった悔しさと、確かな成長が同居した2011年。勝負の厳しさと、クラブとしての底力を改めて印象づけたシーズンだった。
▽GK
楢崎正剛
▽DF
阿部翔平
田中マルクス闘莉王
増川隆洋
田中隼磨
▽MF
ダニルソン
中村直志
小川佳純
玉田圭司
藤本淳吾
▽FW
ジョシュア・ケネディ
