明治安田J1リーグは第35節を終え、いよいよ大詰めとなってきた。今季は例年以上に混戦模様であり、監督の力量の差も勝敗にかなりのウエイトを占めているように感じられる。今回は、今季のJ1リーグで思うような成績を残せなかった監督を5人ピックアップして紹介する。[2/5ページ]
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松橋力蔵

【写真:Getty Images】
監督就任:2024年12月
所属クラブ:FC東京
今季リーグ戦成績:12勝9分14敗(11位)
2022シーズンからアルビレックス新潟の監督に就任した松橋力蔵は、ポゼッションサッカーで着任直後からJ2を席巻。同シーズンにJ2優勝を果たし、翌年からのJ1昇格をクラブにもたらしている。
舞台がJ1に移っても、徹底的なポゼッションの意識は変わることなく、2023シーズンにはリーグ10位、昨季にはYBCルヴァンカップ決勝進出を果たした。
新潟の主要初タイトル獲得まであと一歩に迫るなど、北陸の地に多くの感動をもたらしてきた。
松橋は昨季終了後に新潟の指揮官を退任。FC東京が同監督にオファーを投げかけ、同氏の招聘が決まった。
しかし、この監督就任には否定的な意見も散見された。FC東京は以前ポゼッションサッカーに挑戦しており、一度挫折した経験があるのだ。
その時の監督は、2021シーズンまで新潟で監督を務めていたアルベルト・プッチ・オルトネダだ。
先に述べたように、松橋は2021シーズン、アルベルトのもとでコーチを務めていた。FC東京が挫折したサッカーと似た戦術が予想された。
さらに、アルベルト解任後に就任したピーター・クラモフスキーは、ポゼッションとは真逆の、少ない手数で仕留めるカウンターサッカーだった。
そのため、ポゼッション戦術にフィットする選手が少ない点にも疑問符がついた。
そして松橋を迎えた今季のFC東京は、この前評判を覆すことが出来なかった。
開幕3試合こそ2勝1敗とまずまずのスタートを切った同クラブだが、直後に4試合連続得点なし、8試合連続勝ちなしを記録。泥沼の日々を送った。
得点力不足とハイラインによる失点の増加が同時に発生し、攻守に問題を抱えていた。
それでも、後半戦に入ると新加入のアレクサンダー・ショルツと長倉幹樹がチームにフィット。フォーメーションも4-2-3-1から4-4-2へと変更し、勝利が増加した。
長倉の負傷後も、その穴を佐藤恵允が埋め、直近7試合で4勝2分1敗と好調を維持している。
クラブ全体でポゼッションサッカーに適応する1年だった今季を乗り越え、来季のFC東京はどんな姿を見せるのだろうか。