横浜F・マリノスの中山昭宏社長は11月4日、西野努スポーティングダイレクター(SD)の今季限りでの契約満了に伴い、横浜市内で取材に応じた。西野SDの退任の経緯や理由、自身の任命責任について言及している。
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なぜシーズン中のこのタイミングでの発表だったのか?横浜F・マリノス中山社長が説明
【写真:編集部】
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チーム強化の総責任者である西野努SDの今季限りでの契約満了が発表されたのは先月28日。シーズンも佳境、残り3試合を残した状況でのタイミングだった。
「彼には1年間ではありましたが、ご尽力いただきクラブとして感謝しています。一方で、クラブが目指す姿に対して年間を通じて残留争いをしているこの現状はクラブとして真摯に受け止める必要があると考えています。今シーズンの結果と現状を総合的に検討した結果、今回の判断に至りました」
中山社長は西野SDの契約満了に至った経緯と理由についてこのように語った。
マリノスは現在、残留圏内の17位で勝ち点37としている。3試合を残して降格圏の18位・横浜FCとの勝ち点差は5。
次節にも残留が決まる大事な時期での発表に「トップチームが第一優先であるということです。チームにとってこのタイミングが一番適切だと思い、実施した」と情報が外に出て、クラブに与える影響を懸念したことも一因だったと説明した。
西野SDは今季からマリノスの強化責任者を担当している。スティーブ・ホーランド監督を招聘したが、守備的な戦術は機能せず開幕から低迷。一時は最下位に転落し、2度の監督交代にも見舞われた。
それでも、夏の選手補強が徐々にはまっていき、チーム状態は上向きつつある。
中山社長は西野SDを任命した自身の責任を追及されると、「結果の責任は間違いなくあると考えています。その上で今、私がやるべきことは何かというと、J1リーグ残留という使命をきちんとやりきるということです。そこに対して全力を尽くしていきたいです」と答えた。
今後については、「来シーズンに向けての検討の開始も含めて現在のチーム統括の体制で進めていく。現在の不足している部分についてサポートするなどを検討していきます」とし、西野SDの後任についても「今、まさに検討中です」と話すにとどめた。
40分以上にわたって行われた報道陣への説明は終始、歯切れが悪かった。もちろん、シーズン中ということもあって答えられない事情はあるにせよ、質問に対する回答として、抽象的な発言が多く見受けられた。
それはマリノスが標榜してきた攻撃的サッカー、「アタッキングフットボール」に話が及んだときもそうだった。
「アタッキングフットボールをもう一度ブラッシュアップしている。それをやる中でF・マリノスのアタッキングフットボールとはこれだというものをチーム統括の中で考えている。それらを踏まえて来シーズンにつなげたいと思う」
中山社長の発言を聞き、やはりふわっとした印象を受けた。アタッキングフットボールの再構築を掲げながら、未だ確たるものを見つけられていないということなのだろうか。
「アタッキングフットボールという旗を降ろすことは考えていないです」とも答えた中山社長。
いずれにしても、クラブとしてどのように見直し、どんなサッカーを目指していくのか。ファン・サポーターも納得のいく回答をシーズン終了後には聞けることを望みたい。
(取材・文:竹中愛美)
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