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コラム 2週間前

菅原由勢も「いるんだぞと」。サッカー日本代表で再び輝くために。「出れてない状況の中」で考えたこと【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Noriko NAGANO

 サッカー日本代表は18日、ボリビア代表との国際親善試合に臨む。年内最後となる一戦で、存在感を示そうとする選手たちの思惑が交錯する中、右ウイングバックの座をめぐる競争も熱を帯びている。ガーナ代表戦で存在感を示した菅原由勢は、再浮上への道を切り開くべく、この試合で強烈なインパクトを残せるか。自身の価値を示す勝負どころに闘志を燃やしている。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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スタメン出場の可能性が高まる菅原由勢

サッカー日本代表、菅原由勢
【写真:Noriko NAGANO】

 日本代表にとって年内最後の試合となるボリビア代表戦が18日、東京・国立競技場で行われる。

 この一戦は2018年9月から指揮を執る森保一監督のA代表100試合目の節目となる。

 キャプテン・遠藤航も「100試合というのを考えると、やっぱり勝ってお祝いしたい。個人的にも高いパフォーマンスを出せるように準備していければいいかなと思います」と気合を入れていたが、2026 FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会イヤーに弾みをつけるためにも、確実に白星を手にする必要がある。

 スタメンに関しては、11月14日のガーナ代表戦から数人が入れ替わると見られるが、この試合で温存された遠藤、板倉滉、小川航基らのスタメン抜擢は確実だ。

 そこで、1つ気になるのが右ウイングバック(WB)。前回は堂安律が先発したが、今回は堂安がシャドウにスライドすることも考えられるため、この位置に菅原由勢が入る可能性があるのだ。

 菅原は、2023年3月に発足した第2次森保体制以降、継続して呼ばれるようになった選手。4バックがベースだった2023年は右サイドバック(SB)のファーストチョイスと位置づけられた。

 ところが、2024年アジアカップ(カタール)で不振に陥り、毎熊晟矢にポジションを奪われ、チームも8強敗退。まさかの事態に直面した。

 そこで彼は同年3月のW杯26アジア2次予選・北朝鮮代表戦で再出発を図った。

3バック変更に新戦力の台頭…菅原由勢に試練

「この1カ月半の間は、自分がどういう選手で、どういうプレーをすべきなのかを考え直した。やっぱり僕は攻撃面で数字を残していくSBにならなきゃいけないし、とにかくアグレッシブに攻守に絡んでいく強みを突き詰めたい」と出直しを誓っていた。

 その矢先に、森保監督が3バック導入を決断。続く6月シリーズから本格的にシフトが進んだことで、菅原の使いどころがなくなり、9月の最終予選スタート後は出番が激減していく。

 11月のインドネシア代表戦では後半途中出場ながらゴールも奪い、苦労が報われたかと思われたが、最終予選の出場は結局、2試合のみ。堂安と伊東純也の2人が右WBに君臨する形となった。

 さらに、今年7月の東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会以降は192センチという規格外のサイズと身体能力を備えた望月ヘンリー海輝が台頭。菅原と同じWBとセンターバック、SBができる人材ということで、強力なライバルが出現した形だ。

 その煽りを受けたのか、日本がブラジルに歴史的勝利を挙げた10月シリーズは菅原が選外。本人もショックを受けたに違いない。

「自分もいるんだぞと…」

「前回(の選外)は自分が選ばれるようなパフォーマンスができていなかったのが一番だと思う」と本人も話したが、9月からレンタルで赴いたブレーメンで調子を上げきれていなかったのも大きいだろう。

 それでも、新たな環境に着実に適応し、11月7日のヴォルフスブルク戦でアシスト。今回、自信を持って日本代表に戻ってきたのだ。

 そしてガーナ代表戦は68分から出場。地元・愛知県での試合で鋭いクロスを何本か供給。終了間際の右コーナーキックからの流れでも安藤智哉の決定機をお膳立てし、“欧州5大リーグで活躍中の攻撃的右WB”らしい仕事ぶりを印象づけたのだ。

「自分は攻撃的に行かなきゃいけないと思うし、SBよりは攻撃に重きを置いてもいいと考えている。後ろの選手も『行っていいよ』と言ってくれてるというのもあるんで、しっかり結果につなげられるようにやっていかなきゃいけないですね。

 今、右WBで出ている2人(堂安と伊東)がとても攻撃的で、そういう選手と比較されるのは分かっているんで、『自分もいるんだぞ』というところはしっかり出していけたらいいと思います」と彼はボリビア代表戦に向けて強調。武器のキックやクロスの精度を押し出し、ゴールに直結するプレーを見せていく構えだ。

 伊東がケガで選外となり、望月も天皇杯で招集外になっているタイミングだけに、菅原にとっては大きなチャンス。これを逃す手はない。

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