今季、最も成長した北海道コンサドーレ札幌の選手は誰か。その問いに多くのサポーターが西野奨太と答えるはずだ。飛躍を遂げた21歳は、J1昇格の可能性が絶たれたジェフユナイテッド千葉戦後、ピッチで涙を流し、自身の不甲斐なさやプロとしての責任を胸に刻んだ。その覚悟の裏には同じ下部組織出身でキャプテンの高嶺朋樹の存在があった。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]
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「それが今、一番強く思っていること」西野奨太は気づきを胸に、ピッチで体現する。
「自分たちはレフェリーや相手チームなど、外的な要素に目を向けすぎていた試合が多かったように思います。対して、上位のチームはクラブと選手ひとりひとりが同じ方向を向いて戦っていると感じました。J1昇格を果たすにはピッチ内外を含めて、ひとりひとりがより強く同じベクトルを向いて、取り組まなければいけないと痛感しました」
気づきを胸に、西野は2025年のラスト2試合に、プロサッカー選手として全身全霊を注ぐ覚悟を固めている。
「残り2試合。プロとしてどういう姿勢でピッチに立ち、どんな試合を見せられるかが問われています。日々の練習からベストな準備をして、コンサドーレの勝利のために力を尽くしたいです。個人としても身近に朋樹くんという偉大な選手がいるので、彼から多くを学びながら、チームを勝たせられる選手になりたい。それが今、一番強く思っていることです」
赤黒の魂は、間違いなく新たな世代へと受け継がれようとしている。
西野は残された2試合でその想いをピッチ上で体現する覚悟だ。
そして、彼らの情熱をクラブの確かな力へと昇華させるためにも、クラブはシーズンをどう総括し、どんな未来を描いていくのか。今こそ、新シーズンに向けた明確なビジョンを打ち立てることが求められているとも感じる。
(取材・文:黒川広人)
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