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J1 2週間前

「いつもの僕らなら…」武藤嘉紀らが感じたヴィッセル神戸の異変。町田が「あれだけの選手を揃えていると…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

 第105回天皇杯・決勝戦が22日に行われ、ヴィッセル神戸はFC町田ゼルビアと対戦した。前回王者の神戸は連覇を狙ったが、初の主要タイトル獲得を目指す町田を相手に1-3で敗北。昨季J1リーグMVPの武藤嘉紀は、今季の不完全燃焼感を来季以降に繋げるべく、厳しく自身を見つめ直した。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
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「僕が活躍しなければいけないという自負もある」

「ずっとタイトルを取れていなかったチームが近年タイトルを取れるようになりましたけど、(それを続けることが)どれだけ難しいかというのを改めて感じました。

 だからこそ、もう一度、来年以降、タイトルを取れるヴィッセル神戸を示したい。もう一度、メラメラしたものをみんなで出していかないといけないと思います」

 そのうえで、こう語気を強めた。

「僕自身もケガでかなり不本意なシーズンになってしまった。僕が活躍しなければいけないという自負もあるので、本当にチームに迷惑をかけてしまった。

 来年また爆発して、チームにタイトルをもたらせるように、もう一度、しっかりと足元を見つめ直していきたいと思っています」

 本人が言うように、神戸の絶対的主軸である大迫、武藤、酒井高徳の3人は今季、ケガやコンディション不良が多く、フル稼働できなかった。

 もう1人の30代ベテランである扇原貴宏も、昨季に比べると状態がいいとは言えなかった。

 30代ベテラン勢が安定といかないのであれば、20代の中堅以下がより力強くチームを支える必要があった。

 けれども、今季、目覚ましい活躍を見せたのは、今季J1で11ゴールを奪い、東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会 韓国にも参戦した宮代くらい。井手口陽介、佐々木大樹、広瀬陸斗ら、30代以下のブレイクが足りなかったのは確かだ。

 2026年になれば、大迫が36歳、酒井と扇原が35歳、武藤が34歳とさらに年齢が上がる。中堅世代には海外移籍を選ぶ選手も出てくるかもしれない。

 となれば、23、24年のJ1連覇時水準のチーム力を保つのは難しくなる。その現実とどう向き合っていくのか。チーム編成や補強を含め、今冬の神戸がやらなければならないことは多そうだ。

 難題に直面する神戸だが、武藤自身はとにかく個人としてパフォーマンスを引き上げることに注力すべき。彼自身の今季J1得点数が「1」というのはあまりにも少なすぎる。

 他クラブを見れば、30代後半になっても違いを作っている乾貴士のような選手もいるし、同い年の昌子は町田で完全復活をこの試合で示した。武藤もまだまだイケるはずだ。

 神戸の背番号11のさらなる進化を期待したいものである。

(取材・文:元川悦子)

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【了】

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