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“0”から“1”へ。「自分は間違ってなかった」中山雄太がFC町田ゼルビアの歴史に名を刻んだ日【コラム】

シリーズ:コラム text by 石田達也 photo by Noriko NAGANO

 第105回天皇杯決勝の舞台で難敵ヴィッセル神戸を退け戴冠に輝いたFC町田ゼルビア。タイトル獲得を使命として昨夏に加入したMF中山雄太のアシストが流れを大きく引き寄せた。“練習通り100%”――。準備の質が違いを作ると語る彼のサッカー哲学を聞いた。(取材・文:石田達也)[2/2ページ]
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「クラブを前進させる“1”を作れたことが一番うれしい」

 そのなか56分には、藤尾がダメ押し弾を決めるも、62分にはFW宮代大聖に一発を食らう。

「失点するまで、どうしようと考えていました。うちの右サイドで起点を作られていて、俺が落ちるか(岡村)大八を入れるかを相談したいと思っていたらベンチが動いてくれました。大八が入ってからサコくんとの1対1を跳ね返し続けてくれたので、ゲームは落ち着いたと思います」

 集中力を高め勝利への気持ちを発揮。神戸の圧力を最後まで押し返し続けると歓喜の瞬間を迎えた。中山はピッチに倒れ、すぐに起き上がるとチームメイトと熱い抱擁をしながら喜びを嚙みしめた。

 中山は昨夏に町田へ加入し、相馬と共に代表クラスの大型補強となった。タイトルへの期待を背負ってきた重圧もあったはずだ。

「報われたという言葉が合っていると思います。俺や相馬、(谷)晃生が意識的に言うことでストレスを感じる選手もいたと思います」

 色々な話し合いやぶつかり合ったこともあったという。ただ、全てはチームのためでもあった。だからこそタイトル獲得で報われた達成感は大きい。

「上手くいかなかったことが、いつか上手くいくことに対しての材料になると思っていて、それを乗り越えエネルギーに変えて生きてきた。今日、結果で示せたこと、現時点で自分は間違ってなかったという自信もあるので(タイトル獲得は)大きな意味をもっていると思います」

 中山にとっては、晴れの決勝の舞台に立ち、その手を伸ばして勝利を掴んだ先にある初タイトルだ。心の内をこう明かす。

「多くのサポーターが来てくれて、歴史を作るところでの第一人者になっていきたいところと、町田の歴史を塗り替えたところ、クラブを前進させる“1”を作れたことが一番うれしい。それに加えて自分自身の初タイトルだなと思うけど、“0”から“1”を作る一員になれたのは光栄です」

 これが終わりの歓喜ではない。まだまだ上を目指し、歴史を刻むための一歩でもある。一喜一憂せず、目の前の試合、そしてワンプレーに心を傾けていく。

(取材・文:石田達也)

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【了】
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