今シーズンのJ1リーグも、残すところあと2試合となった。激戦の中で鮮烈な印象を残した選手の中には、加入時はそれほど注目されていなかったにもかかわらず、想像を超える活躍を見せた選手もいた。今回は、期待値以上の成果を挙げ、クラブに貢献した新加入選手5人を紹介する。[1/5ページ]
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FW:伊藤達哉(いとう・たつや)

【写真:Getty Images】
生年月日:1997年6月26日
所属チーム:川崎フロンターレ
2025年リーグ戦成績:34試合12得点3アシスト
今季の伊藤達哉は、リーグ全体で見てもトップクラスの存在感を放っていると言っていいだろう。
柏レイソルのアカデミー育ちでありながら、Jリーグを経由せず、2015年にドイツの名門ハンブルガーSVに加入した伊藤。
その後はシント=トロイデン(ベルギー)、マクデブルク(ドイツ)など、欧州の舞台でキャリアを積み重ねてきた。
そして、欧州での挑戦を終え、今冬に川崎フロンターレに加入し、27歳でJリーグ初挑戦を果たすことになる。
ドイツ1部で通算20試合に出場し3アシスト、同2部では88試合で7ゴール9アシストという数字を残していたものの、Jリーグでは未知数という見方も少なくなかった。
しかし、いざ日本のピッチに立ってみると、欧州で磨いてきた経験と技術はすぐさま形となって表れる。
今季の初陣となったAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)の浦項スティーラース戦では、ピンポイントクロスで山田新のゴールをアシストし、デビュー戦から強いインパクトを残した。
以降も細かなタッチと緩急あるドリブルで相手守備網を切り裂き、川崎フロンターレの攻撃を牽引する存在に躍り出た。
特に圧巻だったのは夏場に見せた決定力だ。
第26節のアルビレックス新潟戦を皮切りに4試合で5得点。その後、1試合の無得点を挟んだものの、再び4試合連続ゴールと爆発し、リーグ戦の2桁得点を達成した。
公式戦全体で見ると、今季は17得点5アシスト。加入初年度とは思えない数字を残し、まさに川崎の攻撃の大黒柱として躍動するシーズンを送った。
その活躍は今や、日本代表へ推薦する声も聞かれるほどだ。
Jリーグ復帰と同時にキャリア最高の輝きを放ち、クラブにとっても大きなサプライズ補強となった一年と言えるだろう。