今季の明治安田J1リーグは残り2試合となり、クライマックスが近づいている。今季も多くの若きタレントが台頭した一方で、怪我によって本来のパフォーマンスを発揮できなかった実力者も少なくない。昨季のMVPから代表クラスの選手まで、怪我に苦しめられた選手を紹介する。※スタッツはデータサイト『Transfermarkt』を参照。情報は11月26日時点。[2/5ページ]
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FW/MF:トルガイ・アルスラン
生年月日:1990年8月16日(35歳)
所属クラブ:サンフレッチェ広島
今季リーグ戦成績:7試合2ゴール0アシスト
サンフレッチェ広島のキーマン、トルガイ・アルスランは、今季序盤から長期離脱を強いられた。
35歳のベテランはボルシア・ドルトムントの下部組織出身。2009年にハンブルガーSVでプロデビューを果たすと、以降はベシクタシュ、フェネルバフチェ、ウディネーゼと欧州の名門を渡り歩いた。
その後、メルボルン・シティを経て、2024年に広島へ加入している。
欧州の舞台を熟知する男は、Jリーグでもその実力を遺憾なく発揮した。
加入1年目の昨季、第26節・セレッソ大阪戦では加入後わずか2試合目で2ゴールを奪取。第29節・FC東京戦ではハットトリックを記録するなど、攻撃にアクセントを加えるキーマンとして存在感を示した。
加入当時33歳とベテランの域に差し掛かっていたにもかかわらず、J1の14試合で8ゴールと期待以上の活躍を披露した。
そんなアルスランは今季も開幕から絶好調。開幕戦・FC町田ゼルビア戦では先発出場し、チームの今季初ゴールをマークした。
しかし、昨季に続き、日本で充実したシーズンを過ごすかに見えたが、開幕早々に悲劇が訪れる。
第4節・横浜FC戦で右膝を負傷し、3月6日には治療のためドイツへ一時帰国すると発表。そこから約6か月にわたり戦列を離れることになった。
復帰戦となったのは、9月に行われたAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)のメルボルン・シティ戦だ。
復帰後もミヒャエル・スキッべ監督は慎重な起用を続け、リーグ戦では2試合連続ベンチ外とする一方、YBCルヴァンカップ決勝や天皇杯準決勝といった大舞台では終盤に投入。アルスランに対する厚い信頼を覗かせた。
今月25日に行われたACLE・成都蓉城戦では先発に名を連ね、約86分間のプレーを披露。久々の長時間出場で復活を強く印象付けた。
今季残り試合数は限られるが、頼れる“魔法使い”のさらなる活躍に期待が高まる。
