今シーズンのJリーグも残りわずかとなり、来季に向けた監督の去就も続々と動きを見せている。激しい優勝争いや残留争いが繰り広げられた大混戦のJ1で、卓越した采配を披露しチームを上位に導いた監督は誰なのか。今回は、今季結果を残した5人の監督を紹介する。[1/5ページ]
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大島秀夫(おおしま・ひでお)
【写真:Getty Images】
生年月日:1980年3月7日
所属チーム:横浜F・マリノス
2025年リーグ戦成績:8勝2分け7敗(16位)
今季、かつてないほどの大不振に陥り、降格の危機に瀕していた横浜F・マリノス。
そんなチームの指揮を6月下旬から託された大島秀夫監督は、見事にクラブを立て直し、崩壊の一歩手前から救い出した。
欧州の名将の下でアシスタントコーチとして経験を積んだスティーブ・ホランド監督は、極度の成績不振により早々に解任。後任に就いたパトリック・キスノーボ監督も流れを変えられず、わずか約2ヶ月で退任する事態に陥る。
混乱の収まらない中、クラブは大島に火中の栗を拾う任務を託した。
極限にまでチーム状況が悪化した中で、流れを変えるのは簡単ではない。
しかし大島は、まず勝ち点を着実に積み上げる現実的な戦い方へと舵を切り、チームを落ち着かせていった。
第21節ファジアーノ岡山戦、第22節FC東京戦では完敗を喫したものの、残留を争う直接対決で勝ち切る強さを見せ、崖っぷちに立たされたチームをかろうじて生き残らせた。
さらに、開幕直後から課題となっていた得点力不足に対し、夏の補強で加入した谷村海那やジョルディ・クルークスを的確にチームへ組み込み、勝ちきれなかった試合をものにするようになったことも大きい。
第36節で横浜FCの降格が決まると同時に、マリノスの残留も確定。大島は限られた時間の中で期待に応える結果を残し、その手腕の確かさを証明した。
また、直近3試合ではいずれも複数得点・無失点で相手を圧倒する快勝を続けており、チーム状態は明らかに上向きだ。
結果が伴い始めてきただけに、大島の来季以降の去就にはますます注目が集まる。