今季のJ1は大混戦の様相を呈したものの、意外にも残留争いは比較的あっさり決着がついた。その背景の一つとして、クラブ市場価値が影響していると考えられる。今回は、データサイト『transfermarkt』のJ1クラブの総市場価値が低いクラブをランキング形式で紹介する。※市場価値やスタッツなどのデータは11月28日時点。[4/5ページ]
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2位:ファジアーノ岡山

【写真:Getty Images】
クラブ市場価値:995万ユーロ(約16億9000万円)
最も市場価値の高い選手:江坂任(65万ユーロ/約1億1000万円)
2025リーグ戦成績:15位(11勝9分16敗)
今季、クラブとして初のJ1に挑んだファジアーノ岡山は、厳しい戦力状況を跳ね返し見事に残留を勝ち取った。
クラブ市場価値は995万ユーロ(約16億9000万円)とJ1では下位に位置する数字だが、そのハンデを感じさせない戦いぶりを見せたのは特筆すべき点だ。
J1初挑戦に向けてクラブは、トップレベルの戦いを熟知する実績ある選手の獲得を最優先事項として動いた。
その象徴が、今季ここまで全試合に出場している江坂任である。
チーム最高額となる市場価値65万ユーロ(約1億1000万円)を誇る江坂は、加入直後から攻撃のタクトを握り、苦しい試合でも前線の軸として存在感を示した。
また、同じく今季加入した立田悠悟もセンターバックではチーム内で最も高い市場価値(55万ユーロ/約9300万円)を誇る。
怪我による離脱時期もあったが、J1経験のある選手がチームに及ぼした影響は大きい。
今季は開幕戦で歴史的勝利を飾ると、その勢いを維持して前半戦で着実に勝ち点を積み上げた。
後半戦はペースを落としたが、それでもクラブ史に残るシーズンとなったのは間違いない。
この経験値は、来季以降の成長を考えるうえでも大きな財産となるはずだ。
しかし、一方で気になるのは、急速な成長を遂げた選手の去就だ。
今やチームの中心に成長し、日本代表にも名を連ねる佐藤龍之介は育成型期限付き移籍での加入ということもあり、オフの動向に大きな注目が集まっている。
彼の去就は、来季のチーム編成における最大の焦点と言えるだろう。
限られた予算の中で戦力を維持し、適切に補強することが来季の課題となる。
今季の成功体験を土台に、どれだけJ1基準の戦いにアジャストできる戦力を積み上げられるか。
岡山のフロントと指揮官の腕が、来季も問われることになる。