ラ・リーガ第14節、レアル・ソシエダ対ビジャレアルが現地時間30日に行われ、3-2でビジャレアルが勝利した。2試合ぶりにスタメン出場した久保建英は今季初アシストを記録。2点ビハインドの状況から反撃の狼煙を上げる活躍を見せたが、チームは終了間際に勝ち越しゴールを奪われ試合に敗れている。(文:佐藤彰太))[1/1ページ]
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好調ビジャレアルに挑んだレアル・ソシエダ

【写真:Getty Images】
前節のオサスナ戦で逆転勝利を収め、直近5試合で3勝2分と復調の兆しを見せるレアル・ソシエダ。さらなる上位進出を目指すなか、リーグ戦4連勝中で現在3位と好調のビジャレアルをホームに迎えた。
ソシエダのセルヒオ・フランシスコ監督は、負傷で招集外となったミケル・オヤルサバルの代わりに、ウマル・サディクを1トップに起用した。
2列目には左にゴンサロ・ゲデス、トップ下にブライス・メンデス、右に久保建英という布陣で試合に臨んだ。
前半開始直後から、丁寧なビルドアップを試みるビジャレアルに対し、ソシエダが前線から強度の高いプレッシャーを掛けてやや主導権を握る展開となった。
久保は12分、高い位置でボールを受けると、カットインから果敢にシュートを放つなど存在感を発揮。前節はベンチスタートとなり、他の攻撃陣が結果を残したこともあって、数字として結果を残したいという気迫が随所に見られた。
また、時間の経過とともに内側でシャドー気味のポジションを取り、ボールを引き出す動きも増えていったが、決定的なクオリティを発揮するには至らず。
マッチアップ相手のアルフォンソ・ペドラサにうまく対応される場面が目立ち、思うように突破口を開けなかった。
すると次第に試合はビジャレアルペースに傾いていく。左サイドでペドラサにポケットを取られると、折り返しをアジョセ・ペレスが押し込み、均衡を破られてしまった。
この失点シーンは、久保の対応が悔やまれる。
久保建英の悔やまれる対応とは?
右サイドバックを務めるホン・アランブルとのマークの受け渡しが曖昧となり、本来マークにつくべき相手を容易にエリア内へ侵入させてしまったのだ。
同サイドでコンビを組むアランブルとの守備での連動性には、まだ改善の余地があると言えるだろう。
1点ビハインドで折り返した後半、ソシエダはハーフウェーラインでボールを失ってショートカウンターを受けると、フリーでボールを受けたアルベルト・モレイロに強烈なミドルシュートを叩き込まれ2点差に。直前の選手交代で生じた一瞬の隙を突かれる形となってしまった。
ただ、この交代策自体はすぐに奏功する。
運動量が落ち、前からのプレッシャーが弱まっていたサディクを下げ、アンデル・バレネチェアを投入。ゲデスを1トップへ移すと前線に機動力が生まれ、ソシエダは再び勢いを取り戻した。
失点からわずか3分後、ビルドアップへの意識が強いGKルイス・ジュニオールがセンターバック(CB)のフアン・フォイスに預けた瞬間、ゲデスが猛チャージでコースを限定。追い詰められたフォイスが左へ展開すると、久保が連動したプレスでミスを誘い、ソシエダボールに。
空中に浮いたボールを久保が華麗な胸トラップで収めると、中央でフリーとなっていたカルロス・ソレールへパス。ソレールは狙い澄ましたシュートを決め、久保は今季初アシストを記録した。
連動したプレスからの理想的な形での得点であり、久保にとっても手応えのあるプレーだったはずだ。昨季まさかのアシストゼロだったことを思えば、数字がついた点は一安心だろう。
ゲデスを1トップに置いたことでビジャレアルは明らかに嫌がる素振りを見せ、同点は時間の問題と思える流れに。
ソシエダはさらにフレッシュな若手を投入すると、87分にはバレネチェアが圧巻の直接フリーキックを突き刺し、2試合連続となるゴラッソで試合を振り出しに戻した。
しかし、ドラマは最後に待っていた。ラストワンプレーで再びモレイロに決められ、試合は3-2でビジャレアルの勝利。痛恨の敗戦となった。
正念場に立たされた久保建英
この試合の最大の反省点は、サディクの1トップが機能しなかったことだ。
データサイト「FotMob」によれば、56分間の出場で空中戦0勝(0/2)、地上戦0勝(0/7)と強みを発揮できず、プレスの遅れも目立ち、ビジャレアルのCBの前進を簡単に許した時間帯はチームにとっていわば“無駄な時間”だった。
久保との相性も以前から良くなく、同時起用で互いの良さを引き出した場面はほとんど記憶にない。
ただ、久保個人のパフォーマンスも必ずしも良かったとは言えない。
対応したペドラサやセルジ・カルドナに対し、終始思うように前を向かせてもらえず、抑え込まれる場面が目立った。
一方で、裏への動きや献身的なプレスで流れを引き寄せたゲデスは、オヤルサバル復帰まで1トップ起用の可能性を示す好材料となった。
戦前、ゲデスの1トップも予想されていただけに、フランシスコ監督の選択は結果的に“失敗”と言わざるを得ない。
ゲデス、バレネチェアといったアタッカーの状態が上向きの中、久保はスタメン落ちの危機にあるとも言えるだろう。
チームとしては、ショッキングな敗戦となったが、強敵ビジャレアルを相手に内容面で健闘した点は大いに評価できる。
また、直近で出番の少なかったベニャト・トゥリエンテスが攻守に存在感を見せるなど、明るい材料もある。
一時の不調から抜け出しつつあるチームのなかで、久保は正念場に立たされている。
(文:佐藤彰太)
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