フットボールチャンネル

J1 3日前

「ウォーミングアップの前は吐きそうなくらい…」横浜F・マリノス、木村凌也の心を立て直した“ある助言”。「ミスはしょうがないと思いながら…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images
横浜F・マリノス、木村凌也

セレッソ大阪戦でプレーする横浜F・マリノスの木村凌也【写真:Getty Images】



 明治安田J1リーグ第37節、横浜F・マリノスはホーム最終戦でセレッソ大阪に3-1で快勝し、リーグ戦4連勝を達成した。この試合でリーグ戦デビューを飾った木村凌也は、PKを献上する場面もあったが、堂々のプレーを披露し勝利に貢献。デビューの緊張と歓喜を胸に、彼はすでに次のステージを見据えている。(取材・文:菊地正典)[2/2ページ]
——————————

「そこでやられるのとやられないのとでは…」

横浜F・マリノス、木村凌也

セレッソ大阪戦でプレーする横浜F・マリノスの木村凌也【写真:Getty Images】

「相手が1人少ない状況になったけど、リスク管理は前半より徹底しようと思っていました。そこでやられるのとやられないのとでは今日の勝敗もそうだし、今後の自分の成長にもつながっていくと思うので、落ち着いてセーブできたのはよかったと思います」

 公式戦デビューで勝利に貢献したあと、木村は山根、さらに諏訪間幸成と育成組織の同期の2人から労われ、3人で写真に写った。その横には同期2人より少し遠慮がちに声を掛ける松村晃助もいた。



 遡ること2年半前の2023年5月、木村は育成組織出身の同期である諏訪間、1学年後輩の松村とともに練習生としてマリノスのトレーニングに参加していた。すでにトップチームでプレーしていた山根を含めた4人で撮影した写真は、今もマリノスの公式SNSで見ることができる。

 木村がJリーグデビューした試合は、同時にその4人がそろってメンバー入りした初めての公式戦でもあった。

 記念すべき日とも言えるのだが、そう話を向けられ、「うーん……なんだろうな」と歯切れが悪かったのは、山根だった。

「目指すところはもっともっと先にある」

飯倉大樹&木村凌也

トレーニングを行う横浜F・マリノスの木村凌也【写真:竹中愛美】

「でも、俺たちがマリノスを引っ張っていくというか、みんながスタメン、みんなが中心にならないといけない。目指すところはもっともっと先にある」

 その言葉を聞き、木村にとって育成組織の大先輩である39歳のベテラン、飯倉が今季開幕前に発していた言葉を思い出す。

「いつまでも俺やパギ(朴一圭)が出ているのはよくない。クラブのことを考えれば、ポープ(ウィリアム。のちに湘南ベルマーレへ移籍)や凌也が試合に出ないといけない」



 木村もわかっている。だから、小さいころからの夢であったマリノスでの公式戦デビューも、過ぎ去れば通過点と捉えている。

「一歩踏み出したと思うけど、あと1試合あるので、次も出るためにやっていきたいし、来年に向けて自分にできることはまだまだあるので、成長につなげるためにもっとやっていきたい」

 試合前の緊張感について話す木村は山根が言うように「ほわんとした雰囲気」を醸し出していた。その一方、未来を語る木村の視線と口調は、とても力強かった。

(取材・文:菊地 正典)

【関連記事】
「横浜F・マリノスのホーム最終戦で物静かな谷村海那が心震えた。最終節へ不敵な笑み。「それを楽しみに頑張ります」【コラム】【コラム】
「今年苦しい思いをさせてしまった分」角田涼太朗がホーム最終戦に込める思い。横浜F・マリノスは「プロとして全てを与えてもらった」【コラム】
「背負うことは重い」横浜F・マリノス、植中朝日が苦悩する最中に差した一筋の光。「そういう人が近くに…」【コラム】


【了】

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!