『森保JAPAN戦術レポート』の著者でもあるらいかーると氏は今季、19本ものJリーグ分析記事をフットボールチャンネルに寄稿した。広くJ1リーグを見続けてきた中で、印象に残った選手から11人+αを選出。シーズンを通したベストイレブンではなく、筆者独自の視点から、気になった選手を選んでいく。(選出・文:らいかーると)[6/8ページ]
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トップ下:鈴木優磨
生年月日:1996年4月26日(29歳)
所属クラブ:鹿島アントラーズ
リーグ戦成績:38試合10得点5アシスト
鹿島のボスです。香川がポジションを下げたように、CFがポジションを下げることもあります。ロベルト・レヴァンドフスキ、カリム・ベンゼマ、ハリー・ケインは気がつけばペナルティーエリア幅から飛び出し、広範囲の移動とプレー関与によって試合に影響を与えるようになりました。
近年の鈴木優磨のプレーも広範囲にわたります。言葉のとおりに何でもこなせる鈴木がゲームメイクからチャンスメイクまでこなすと、さすがにフィニッシャーまではこなせません。
この問題解決にレオ・セアラを連れてきたことが今季の鹿島アントラーズの賢さでした。鈴木がゴール前からいなくなってもレオ・セアラがなんとかしてくれる仕組みを成功させた鬼木監督の手腕が見事でした。
レオ・セアラと早川の理不尽を全員で繋いだ鹿島。そのなかで理不尽さと論理性でチームを引っ張り続けた鈴木には今後もJリーグを騒がせてほしいです。
FW:佐々木大樹
生年月日:1999年9月17日(26歳)
所属クラブ:ヴィッセル神戸
リーグ戦成績:31試合5得点8アシスト
なぜレオ・セアラ、ラファエル・エリアス、ラファエル・ハットンではないのか!と思った読者の皆様、この選考がベストイレブンではないからです。
ヴィッセル神戸のサッカーを個人的にとても好ましく思っています。一方で、大迫勇也、武藤嘉紀がいないと厳しいだろうなという印象を持っていました。せめてどちらかの選手が出場していれば、神戸のサッカーは成り立つのだろうと考えていました。
しかし、今季のヴィッセル神戸は大迫勇也も武藤嘉紀もいない季節が長く続きます。コンディション不良からか、出場機会の多かった大迫も元気が少しありません。そんななかでも、神戸にタイトル獲得の可能性を終盤まで引っ張った存在が佐々木大樹です。
地上戦も空中戦も選択肢にある神戸のサッカーにおいて、空中戦の的として佐々木大樹はある程度の計算を成り立たせます。さらに、中央からサイドに流れてのプレーでもチームに貢献しました。いわゆるシンプルなCFというよりも、多くの仕事をこなせるCFとして大迫、武藤の代わりにチームを引っ張り続けました。
すでにゴール数でブレイクを果たした宮代大聖と比較すると、佐々木大樹の数字は目立たないかもしれません。しかし、神戸のサッカーを成り立たせる部分での貢献と、近い将来に神戸のエースとなることを期待しての選出です。でも、海外に行ったりするのでしょうか。


