明治安田J1リーグは2025シーズンの全日程が終了した。ベストイレブンに輝いた伊藤達哉や田中聡のように、新戦力の活躍が目立つ1年であったが、もちろんすべての選手が順風満帆なシーズンを過ごしたわけではない。今回は、期待を背負って新天地へ渡るも、輝ききれなかった新戦力を紹介する。[2/5ページ]
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FW:奥抜侃志(おくぬき・かんじ)
生年月日:1999年8月11日(26歳)
所属クラブ:ガンバ大阪
今季リーグ戦成績:12試合1ゴール1アシスト
奥抜侃志は今季、低調なスタートを切った。
2023年6月からドイツ2部ニュルンベルクでプレーしていた奥抜だが、24/25シーズンから、突如チーム内の序列が低下。
元ドイツ代表のミロスラフ・クローゼ監督の下ではベンチ外の試合が続くようになり、今年1月にガンバ大阪へ完全移籍することを選んだ。
大きな決断だったはずだ。
移籍当時、奥抜は25歳。サッカー選手としてキャリアの大事な時期に日本に戻ることもそうだが、彼はJ2リーグから直接海外挑戦したため、J1リーグは未経験という珍しいタイプである。
期待を背負ってガンバに加入したが、未知数な部分も少なくなかった。
実際、今季は開幕から適応に苦しんだ。
奥抜はリーグ開幕戦となったセレッソ大阪戦に先発出場。ガンバの一員として絶対に負けられないダービーマッチに挑んだが、チームは2-5の大敗を喫した。
決して奥抜だけの責任ではないが、彼自身もコンディションが上がっていない様子で、しばしば守備強度の低さを露呈。期待を裏切るパフォーマンスでファン・サポーターから批判の対象になった。
4月21日にはクラブが同選手の負傷を報告。「左足関節前方および後方インピンジメント症候群」と診断され、復帰には8月の第25節ファジアーノ岡山戦まで時間を要している。
しかし、戦列復帰以降は本来の輝きを取り戻しつつある。
徐々に、持ち味である突破力や味方と連係したチャンスメイクといったプレーを披露し、チームの攻撃に溶け込んでいった。
シーズン後半戦は第36節のヴィッセル神戸戦で移籍後初ゴールを奪うなど、右肩上がりに調子を上げていた印象だ。
開幕戦で指摘されていた守備強度の低さも改善の色を見せている。
この成長曲線を維持し、来季は青黒の攻撃を牽引する存在になってもらいたい。

