明治安田J1リーグは2025シーズンの全日程が終了した。ベストイレブンに輝いた伊藤達哉や田中聡のように、新戦力の活躍が目立つ1年であったが、もちろんすべての選手が順風満帆なシーズンを過ごしたわけではない。今回は、期待を背負って新天地へ渡るも、輝ききれなかった新戦力を紹介する。[3/5ページ]
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DF:鈴木海音(すずき・かいと)
生年月日:2002年8月25日(23歳)
所属クラブ:東京ヴェルディ
今季リーグ戦成績:7試合0ゴール0アシスト
東京ヴェルディの若きディフェンダーが苦しんでいる。
現在23歳の鈴木海音は、ジュビロ磐田の下部組織出身。2020年に磐田とプロ契約を結ぶと、2023シーズンから本格的に主力として活躍した。
また、2024年にはパリ五輪に臨むU-23サッカー日本代表に選出された。
当初はバックアップメンバーだったが、大会ルールの変更や負傷者の発生によって正式メンバーに昇格し、本大会では1試合に出場している。
さらなる成長が期待されていた鈴木は、今季驚きの決断をする。それが磐田を離れ、ヴェルディに完全移籍するというものだ。
これまで期限付き移籍という名の武者修行を経験したことはあるが、完全移籍はこれが初めて。この移籍には鈴木の並々ならぬ覚悟があったはずだ。
しかし、強い決意がにじんだ移籍はいまのところ厳しい結果となってしまっている。
新天地で過ごした今季の総出場時間は、全コンペティション合わせて約553分間。リーグ戦に限定すると約145分間だ。
ヴェルディには綱島悠斗や谷口栄斗ら、センターバックのポジションに強力なライバルが存在していた。
鈴木はポジション争いで優位に立てず、十分な出場機会を確保することができなかった。
ベンチとベンチ外が続く日々では、試合勘などコンディションを調整することの難しさもあっただろう。
鈴木はまだ23歳と焦るべき年齢ではないが、20代前半のパフォーマンスが今後のプロキャリアに大きな影響を与えることは明白だ。
ブレイクを遂げるために、まずはピッチに立たなければならない。
現状を考えると、今冬の移籍市場で鈴木の去就に何らかの動きがあっても不思議ではないだろう。

