明治安田J1リーグは2025シーズンの全日程が終了した。ベストイレブンに輝いた伊藤達哉や田中聡のように、新戦力の活躍が目立つ1年であったが、もちろんすべての選手が順風満帆なシーズンを過ごしたわけではない。今回は、期待を背負って新天地へ渡るも、輝ききれなかった新戦力を紹介する。[4/5ページ]
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MF:松本泰志(まつもと・たいし)
生年月日:1998年8月22日(27歳)
所属クラブ:浦和レッズ
今季リーグ戦成績:29試合3ゴール2アシスト
今季の浦和レッズでは、大型補強によって前線の各ポジションで激しい競争が発生した。
現在27歳の松本泰志はその競争の波にのまれた選手の一人かもしれない。
松本は昌平高校卒業後、2017年にサンフレッチェ広島に加入。アビスパ福岡とセレッソ大阪への期限付き移籍を経て、広島の中盤に不可欠な存在へと成長を遂げた。
昨季はリーグ戦36試合に出場し、3ゴール2アシストを記録。2列目と3列目の両方のポジションで器用にプレーし、総出場時間は2,800分を超えた。
これらの活躍が評価され、シーズン終了後にはJ1リーグ優秀選手賞を受賞している。
そんな松本は、今季から浦和の一員となった。
冒頭で述べたように、浦和は大型補強を敢行した。
マテウス・サヴィオらと共に松本も目玉選手の1人であり、多彩なタレントとどのように融合するのか、その活躍に期待が寄せられていた。
ところが、松本は期待に反して主力に定着できず。リーグ戦29試合に出場したが、途中出場の試合も多く、総出場時間は約1,300分間となった。
昨季のプレータイムの半分にも達しておらず、チームが松本という才能を十分に活かしきれたとは言い難い。
シーズン開幕から攻撃的MFとして先発出場を続けていたが、第10節のFC町田ゼルビア戦からベンチスタートが続いた。
その後、サミュエル・グスタフソンの離脱によって3列目で出場した試合もあったが、グスタフソンが復帰して以降、再び途中出場がメインという状況となった。
原因は、ポジション争いの激化と松本のプレースタイルにある。
大型補強により、浦和は2列目と3列目が飽和状態に。松本は中盤ならどのポジションでも起用できるポリバレント性が武器であるが、その魅力が逆に固定ポジションを得られない要因となった。
指揮官としては彼をベンチに控えさせておくことで、様々な展開に対応するための切り札となる。
「便利屋」という立ち位置から抜け出せなかった。
非常に難しい問題だが、松本の実力は多くのファンが認めるところだ。来季はその才能をフルで発揮するシーズンになってほしい。

