
Jリーグ、もう一つのベストイレブン【写真:Getty Images】
2025Jリーグアウォーズが11日に行われ、今季のベストイレブンが発表された。栄えある賞に輝いた選手たちがいる一方で、今季のJ1リーグでは、それに匹敵するほど印象的な活躍を披露した選手も数多く存在する。今回は、ベストイレブンに選出されなかった選手の中から、もう一つの「ベストイレブン」をピックアップ。受賞には届かなかったものの、確かな実力と存在感を示した11人を紹介する。[4/7ページ]
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MF:山本悠樹(やまもと・ゆうき)

川崎フロンターレのMF山本悠樹【写真:Getty Images】
生年月日:1997年11月6日
所属クラブ:川崎フロンターレ
2025年リーグ戦成績:35試合4得点3アシスト
川崎フロンターレで2シーズン目を迎えた山本悠樹は、今季目覚ましい活躍を見せた。
昨季、ガンバ大阪から加入した山本は、思うように出場機会を得られず、不遇の時間を過ごした時期もあった。
シーズン終盤になってようやく持ち味を発揮し始めたものの、本来の力を示し切ったとは言い難い一年だった。
しかし今季は、その終盤に掴んだ感覚を開幕から発揮する。
今季から指揮を執る長谷部茂利監督のもと、不動の主力として中盤に君臨。試合を重ねるごとに存在感を高め、ほぼ全試合でピッチに立ち続けた。
最大の武器は、その卓越したゲームメーク能力だ。
リーグ最多となる67得点を記録した川崎の攻撃は、山本を経由することで滑らかに、そして立体的に展開されていった。
数字上のアシストは「3」にとどまったが、それだけで彼を評価をするのは適切ではないだろう。
広い視野で味方の立ち位置を瞬時に把握し、柔らかいタッチから鋭い縦パスまで、強弱を自在に操るサッカーセンスは随所で光っていた。
昨季の不遇が嘘のように、安定感抜群のプレーを披露した山本。川崎の中盤を掌握する司令塔として、ここからどこまで進化を遂げるのか。
来季以降のさらなる飛躍にも、期待がかかる。
MF:中川敦瑛(なかがわ・のぶてる)

柏レイソルのMF中川敦瑛【写真:Getty Images】
生年月日:2002年5月15日
所属クラブ:柏レイソル
2025年リーグ戦成績:21試合3得点4アシスト
今季、法政大学から加入した中川敦瑛が後半戦に見せたパフォーマンスは、まさに圧巻の一言に尽きる。
本職は攻撃的な中盤のポジションだが、熊坂光希の負傷離脱を受け、リカルド・ロドリゲス監督は中川をボランチに抜擢した。
その決断は、彼のキャリアを大きく好転させる結果となった。
中川の前半戦のリーグ戦でのプレータイムはわずか12分。しかし、シーズンの折り返しとなる第20節の東京ヴェルディ戦以降は全試合でスタメン出場を果たしている。
さらに、その期間で途中交代となったのはたったの3試合。指揮官からの絶大な信頼を勝ち取ったことがうかがえる。
最大の強みは、ボールを受けた際のプレーの選択肢の豊富さだ。
元々攻撃的なポジションを得意とする選手だけに、ボールを受けることに一切の恐れがない。
中盤の底でプレッシャーを受けても、巧みなターンで一瞬にして相手をかわし、チーム全体を前進させることができる。
加えて、正確なキックによるサイドチェンジや、単騎で局面を打開するドリブル突破も大きな武器だ。
ボールを持てば一気にゴール前まで運ぶことができ、後半戦の柏の攻撃に厚みをもたらした。
今季は、そうしたプレーが随所に見られ、攻守両面で機能するマルチな中盤として存在感を示している。
優秀選手賞こそ逃したものの、巡ってきたチャンスを確実につかみ取り、確かな爪痕を残したルーキーイヤーだったと言える。
この勢いを来季以降も維持できるかが、今後の大きなテーマとなる。
後半戦で見せたプレーは、中川がチームの中核を担う存在へと成長していく未来を、十分に予感させるものだったと言えるだろう。
MF:佐藤龍之介(さとう・りゅうのすけ)

ファジアーノ岡山のMF佐藤龍之介【写真:Getty Images】
生年月日:2006年10月16日
所属クラブ:ファジアーノ岡山
2025年リーグ戦成績:28試合6得点2アシスト
今季、出場機会を求めてFC東京からファジアーノ岡山へ育成型期限付き移籍した佐藤龍之介は、Jリーグでプレーする若手の中でも、とりわけ大きな飛躍を遂げた存在と言える。
その評価を象徴するのが、今季のベストヤングプレーヤー賞受賞だ。
数字とインパクトの両面を見ても、誰もが納得する選出だったに違いない。
16歳でFC東京とプロ契約を結び、FIFA U-17ワールドカップでは背番号10を背負うなど、将来性の高さは早くから知られていた佐藤。しかし、わずか1年でここまでの成長曲線を描くと予想できた人は、決して多くなかったはずだ。
シーズン序盤はAFC U-20アジアカップ出場のためチームを離れていたが、合流後は即座に存在感を発揮。ボールを受けた瞬間に違いを生み出せる技術と判断力で、J1初挑戦となった岡山の攻撃を牽引する存在へと一気に駆け上がった。
前年までのJ1出場はわずか3試合ということを踏まえると、昇格クラブという難しい環境の中でリーグ戦28試合に出場し、6得点2アシストの結果は立派な数字だろう。
単なる“有望株”ではなく、実際に結果を残せる選手であることを証明したシーズンだった。
また、その活躍は森保一監督の目にも留まっている。
5月には日本代表に初選出され、FIFAワールドカップ26アジア最終予選・インドネシア代表戦で、18歳237日という若さでA代表デビューを果たした。
この出場により、W杯最終予選における最年少出場記録を更新。さらに7月の東アジアE-1サッカー選手権2025決勝大会、11月の国際親善試合でも代表メンバーに名を連ねるなど、その勢いはとどまるところを知らない。
近い将来の海外挑戦は、もはや既定路線と言っていい。
ブレイクの原点として刻まれる今季は、キャリアにおいて極めて重要な一年となった。
MF:小屋松知哉(こやまつ・ともや)

柏レイソルのMF小屋松知哉【写真:Getty Images】
生年月日:1995年4月24日
所属クラブ:柏レイソル
2025年リーグ戦成績:37試合3得点10アシスト
今季のJリーグで大きなサプライズを起こした柏レイソル。その躍進を語る上で、小屋松知哉の存在は欠かせない。
新たに就任したリカルド・ロドリゲス監督のもと、小屋松は主に左ウイングバックとしてプレー。90分間を通して豊富な運動量で攻守に関与し続ける献身性は、柏が志向するアグレッシブなサッカーを成立させる重要な要素となった。
ボールを持てば迷いなく仕掛ける姿勢は健在だ。今季記録した10アシストは、単なる数字以上の意味を持つだろう。
サイドでの鋭いドリブル突破、タイミングを見極めたクロス、そしてゴール前での的確な判断。その積み重ねが、柏の攻撃に明確な推進力をもたらしていた。
さらに、欠場が極めて少ない点も、小屋松の大きなストロングポイントである。
毎シーズン高い稼働率を誇ってきた中で、今季はチーム成績の向上と自身のスタッツが見事に結実した。
安定してピッチに立ち続け、数字でも貢献した経験は、大きな自信につながったに違いない。
Jリーグ、そしてYBCルヴァンカップともに準優勝と、タイトル獲得まであと一歩に迫りながらも届かなかった今季。その中で、小屋松自身にとって忘れがたいのが、第24節の鹿島アントラーズ戦だ。
自身のPK失敗が勝利を逃す結果につながり、試合後に流した涙は、責任感と勝利への強い渇望を象徴するものだった。
悲願のタイトルを手にするため、今季味わった悔しさを糧に、来シーズンもピッチに立ち続けたいところだ。