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J2 5時間前

「自分にはプラスでしかなかった」水戸ホーリーホックに走った衝撃が齋藤俊輔を突き動かした。「それがすべての要因」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

水戸ホーリーホック、齋藤俊輔
水戸ホーリーホックの齋藤俊輔【写真:Getty Images】



 クラブ史上初のJ1昇格を果たした水戸ホーリーホック。その快進撃の裏で、齋藤俊輔にとっても今季は大きな転機となった。前半戦は控えに回りながらも、シーズンが進むにつれて存在感を増し、J2ベストイレブン初受賞という結果で飛躍を証明した。成長著しい20歳は、充実のシーズンを振り返りながら、その先にある未来についても語っている。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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「自分がより上に行くための武器になっていくと…」

U-20サッカー日本代表の齋藤俊輔
U-22日本代表に招集されている齋藤俊輔【写真:Getty Images】

「代表では左ウイングを中心にサイドで仕事をする機会が多い状況ですけど、そこでの自分の仕掛けというのは十分に通用する、という手応えは感じています。

 クラブでやっているちょっと内側のポジションや、ゴールに近い位置でのプレーというのは自分の特徴でもある。そういったプレーの使い分けは、自分がより上に行くための武器になっていくと思っています」

 千葉市内で行われているU-22代表合宿では、うれしい再会も果たしている。



 熊本県の強豪・大津高校から昨シーズンに水戸へ加入した同期生で、齋藤とほぼ同じ時期にJ2リーグ戦でデビュー。今回の活動でU-22代表に初招集された碇明日麻と、約半年ぶりに顔を合わせた。

 碇は今年6月に、水戸が業務提携を結ぶドイツ・ブンデスリーガ2部のハノーファー96のU-23チームへ1年間の期限付き移籍。今回が日本を旅立ってから、初めての一時帰国だった。

 遠く離れたドイツでプレーする碇と、ラインを介して連絡を取り続けてきたと齋藤が言う。

齋藤俊輔が見据える次のステージ「本当にタイミングだと思っている」

U-22サッカー日本代表の齋藤俊輔
U-20ワールドカップでプレーする齋藤俊輔【写真:Getty Images】

「僕も海外を目指しているので、ドイツのリーグや選手たちはどのようなものか、というのをいろいろと聞きました。日本とはまた違ったものをアイツは感じているはずなので、そういった点も吸収したい」

 具体的なプランこそ描かれていないものの、近い将来の海外挑戦を齋藤は否定しない。

「そこ(海外移籍)は本当にタイミングだと思っているし、まだどうなるかはわからないけど、もっとレベルの高いところでプレーして、もっともっと成長していけるようにやっていきたい。



 代表ではまずはしっかりと自分たちの代でオリンピックに出て、その次のワールドカップを見すえて、という形になっていく。そのなかで、与えられたところでしっかりとチャンスものにしていきたい」

 日本が9大会連続の出場を目指すロサンゼルス五輪では、男子の出場国数が16から12へと減少。それに伴ってアジア大陸の出場枠も、パリ大会の3.5から2へと大きく減った。

 ただでさえ狭き門の五輪出場へ向けた戦いが、さらに厳しさを増すなかで齋藤が決意を新たにする。

「圧勝していかなきゃ…」

U-22サッカー日本代表の齋藤俊輔
U-20ワールドカップでプレーする齋藤俊輔【写真:Getty Images】

「アジア相手だからといって簡単な対戦国はいないと思っていますけど、それでも日本はやはり圧勝していかなきゃいけない。そこに向けての今回の活動だと思っています」

 IBARAKI Next Generation Cup2025では、24日にU-22代表とU-21関東大学選抜、U-21ALL IBARAKIとU-21東北大学選抜がそれぞれ対戦。勝者同士と敗者同士が、27日にそれぞれ対戦する。

 翌28日には年明け早々にサウジアラビアで開催される、AFC U-23アジアカップ2026に臨むU-23代表メンバーが発表。詳細未定ながらアジアカップは2028年にも五輪予選を兼ねて開催される。

 まさに大きな目標のひとつにすえるロサンゼルス五輪へ向けた戦いを、本格的にスタートさせる場所が水戸の本拠地ケーズデンキスタジアム水戸。この偶然に齋藤は思わず表情を綻ばせている。



「今年1年間お世話になったスタジアムでできるのは本当にうれしいし、そこに僕と明日麻(碇)も選ばれてプレーできる。水戸のみなさんへの恩返しじゃないですけど、そういうものを見せていきたいですね」

 来年2月からはJ1クラブの一員として水戸も臨む特別大会、Jリーグ百年構想リーグがスタート。FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会後の同8月には、秋春制へ移行する2026-27シーズンがいよいよ開幕する。

 その間にはタイミングが合えば、と齋藤が思い描く海外移籍が実現するかもしれない。

 この先に待つさまざまな可能性に胸をときめかせながら、齋藤は愛着深い水戸で充実した2025年を締める戦いに臨む。

(取材・文:藤江直人)

【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。

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【了】

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